プライド ページ10
『亜噂……』
「A様にはまだ軍もないですし。けれどそのためにしている努力を、無理に決まっているの一言で片付けられるのは嫌ですし。」
「……黙って聞いていれば勝手なことを」
「取り消していただきたいですし。今すぐ」
『亜噂!!』
Aが亜噂を静止させる。亜噂は、まだ何か言いたげだったが、すぐに引っ込んだ。
『…すまなかった。今までの無礼を謝罪する。こいつにはきつく言っておくから、今のところは勘弁して欲しい。』
そう言って頭を下げると、小十郎は部屋から出て行った。
再び、部屋に静寂が訪れる。
「……どうして止めたし。」
『まあ、落ち着け亜噂。』
「A様は悔しくないし?!」
そう怒鳴り、畳に拳を押し付ける。その手はわなわなと震えていた。
『…亜噂。お前は、私のために怒ってくれたが、その行為は相手に無礼を犯しているんだぞ。』
「………」
『今の話では、あちらの言い分が正しい。それを真っ向から否定するには、事実しかない。』
「………」
『私は夢を見る。だが無謀なことはしないつもりだ。それは亜噂も分かるな?』
「…悔しかったら事実を示せ…ですし?」
『そうだ!分かってるじゃないか。』
亜噂が口にした言葉は、かつて幼かった頃の師匠が教えてくれた言葉だった。
山奥に捨てられていたAと亜噂を育ててくれたのも、その師匠だ。
『師匠の教えを忘れるなよ。』
「…分かったし。」
亜噂がそう応えると、Aはにこりと微笑んだ。
『(だが、私達を値踏みするのはやめて欲しいな。こちらとて不愉快だ。)』
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小十郎が襖を開けると、政宗が心底楽しそうな顔をして筆を走らせていた。
こうも機嫌良く政務をするとは珍しい。
「どうだった。」
「部下のために頭を下げるくらいはあるらしいです。部下の方も、主君に対して忠誠しているようでした。」
「そういうことじゃねえよ。お前はどう思ったかを聞いてる。」
「…今はまだ未熟ですが、脅威になるかと。」
「面白い奴らだろ?亜噂に関しては、お前にそっくりだ。」
「は……?」
「主君に忠誠しているところとかな。」
そう政宗達が話していると、一本の矢が、政宗を掠めた。
矢の尾には、
『これにて失礼する。次に会ったときは、亜噂をあまり怒らせないでくれ。』
こう書かれた文が結ばれていた。
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らん(プロフ) - おもしろかったです!やっぱり佐助は良い奴(*´ω`*) (2020年8月15日 23時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» それは次のお話で明らかになりますよ!今回もコメントありがとうございます! (2020年8月15日 18時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - お久しぶりです!面白かったです! 猿飛佐助は、今後仲間に入りますか?!(ネタバレすみません) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - かえこ(弟)さん» ありがとう。お前は早く勉強しろ? (2020年8月4日 11時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(弟) - 面白かったです マタオネガイシマス (2020年8月4日 11時) (レス) id: 1df8178e6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえこ x他1人 | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?
作成日時:2020年5月23日 21時