私は一国の主だああああああ！ [戦国basara]

影 ページ25

｢月崎殿とはどなたか？｣


その部屋に訪れたのは、徳川家康だった。

Aは銀を仕舞い、家康を招き入れる。


『月崎とは私だ。貴方は東照権現…徳川家康殿ではなかろうか？』

｢これは驚いた…。まさかこのような幼子が｣

『誰が幼子じゃボケぇぇぇぇ！！私は19だと何故誰も分からないんだよ？！』

｢え……あ、す、すまない！悪気はなかったのだが…｣


悪気がないと分かってると余計に腹が立つというのも人間の性である。

だがAは気をとり直し、家康と向き合った。


『はぁぁ……で、東照殿が何用か？』

｢ああ…用という用でもないさ。三成の刀を折ったという人がいると聞いたから見に来ただけだ。｣

『ほう。東照殿は凶王にいつも刀を向けられているというのは本当なのか。』

｢ワシと三成はどうも合わなくてなぁ。互いに理解しあえるときが来れば良いのだが。｣


そう言う家康は、どこか遠い目をしている。


『そのときまで待つしかありますまい。鳴かぬなら、鳴くまで何たら、不如帰、ってね。』


不如帰の歌は数多い。

鳴くまで待とう、鳴かせてみせよう、


そして、殺してしまえ。


｢………。｣

『果たして、貴方は鳴くまで待てるのか…。それとも殺してしまうのか…。』

｢……君はどこか、似ているな…。｣

『？誰に？』






｢…いや、何でもない。｣



｢徳川殿。少しよろしいですし？｣

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