救済 ページ12
Aが駆けつけたところには、地面に血が染みこんでいた。その中心に横たわるのは、一人の男。
『おいあんた!大丈夫か?!』
男の耳元で叫ぶも、声一つあげない。
『……だがまだ息がある。亜噂。こいつを連れて行くぞ。』
「了解。城に戻るし?」
『…いや、近場に宿があっただろ。そこへ行く。亜噂は先に行って事情を伝えてくれ。』
「分かったし…。気をつけて!」
そう言い残し、亜噂は駆け出して行った。
Aは男の傷を衣服で縛り、男を背負う。
『死ぬなよ……。』
ただそう願い、Aも亜噂の後を追った。
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その宿は古いものだった。室町時代からやっている由緒ある宿らしい。
そこを管理する女将は、亜噂の話を聞くや否や、すぐに部屋と手当ての準備をした。
その女将の協力もあってか、男が死ぬことはなかった。
『本当に、助かりました。ありがとうございます。』
「ありがとうございます。」
「頭をあげてくださいな。アタイは大したことはしてないよ。」
女将は高く縛った黒髪を解き、櫛でとぐ。
「でもよかった。この人が死ななくて。この人はあんたらの知り合いかい?」
『いいえ…赤の他人です。道で倒れてたのを、偶然見つけただけで。』
「そりゃ凄いねぇ。この人も運が良いもんだ。」
女将は安心したようにため息をついた。傍らで眠っている男は、さっきまで血に塗れていたことが嘘のように穏やかに寝息を立てている。
「ああ、そうだ。この人を治療してるときにこんな物を見つけたんだよ。」
『拝見します。』
Aは手渡されたそれを見ると、途端に顔をしかめた。
『………これは……どう思う亜噂。』
「……。やっぱり、亜噂の思った通りだし。」
Aの手元には、古びた帳面があった。
所々血が染みていたが、その文字は確認できる。
その帳面をめくると、何やら人の名前と順位、そして処刑方とやらが書かれている。
名前に罰点がうってある者は、既に処刑が実行されたということだろうか。
書かれている処刑方というのは、どれも無残で残酷なものばかりだった。
そして、順位の一位には、
伊達政宗の、その名前が乱雑に綴られていた。
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らん(プロフ) - おもしろかったです!やっぱり佐助は良い奴(*´ω`*) (2020年8月15日 23時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» それは次のお話で明らかになりますよ!今回もコメントありがとうございます! (2020年8月15日 18時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - お久しぶりです!面白かったです! 猿飛佐助は、今後仲間に入りますか?!(ネタバレすみません) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - かえこ(弟)さん» ありがとう。お前は早く勉強しろ? (2020年8月4日 11時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(弟) - 面白かったです マタオネガイシマス (2020年8月4日 11時) (レス) id: 1df8178e6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえこ x他1人 | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?
作成日時:2020年5月23日 21時