夜道 ページ11
「A様ぁ。出て行って良いんですし?」
『矢文は出しただろう。別にいいさ。』
「そうじゃなくて、A様は独眼竜と戦うのを楽しみにしてましたし。」
『月崎の名を広めることが出来ただけ十分な収穫だ。』
「………本当は?」
『めっちゃ戦いたかったああああああ!!』
「……。」
夜もふけ、辺りが暗くなった時間。Aと亜噂は、城を抜け出していた。
小十郎との一連のやり取りで亜噂に気を遣い、次の場所へ向かうことにしたのだ。
「やはり、亜噂があんなこと言ってしまったから……」
『亜噂。そうじゃないと言ったろ?』
「けど、あの言葉を真に受けてしまったし。冷静でいればよかったし…。」
『これで一つ学べたな。どんなときも冷静に。次はそうすれば良いじゃないか。なあ亜噂?』
「A様……分かりましたし。」
『それにしても、驚いたぞ。亜噂があんなに怒るなんてな!重臣として、だったか?』
「……もう忘れてくれし。」
『そう言われると覚えておきたくなるなぁ?』
「A様!!」
『はははッ!亜噂よ。何かとすぐに怒るのはよした方が良い。血圧上がるぞ?』
「そうじゃないし!後ろ!!」
『へ。』
亜噂が指さす方に振り返ると、大きな刃がAへと飛んで来る。
Aは持ち前の反射神経で銀を取りだし、鎖で刃を止めた。
刃が鎖と擦れ、嫌な音を立てる。
「A様!」
『案ずるな亜噂!私は大丈夫だ!』
「……敵はどこだし?」
『私は分からん。亜噂でも分からないか?』
「……西の方に一人……でも動きがないし。」
『敵に動きがない?』
「油断させてるだけかも知れないし。亜噂が確認して来るし。」
『頼んだ。』
亜噂は三節棍を取りだし、気配の方へと進む。暗い道が不安を掻き立てていた。
Aは、受け止めた刃をまじまじと見る。明かりの小さい光でも、Aには十分見えていた。
刃はかなり湾曲しており、持ち手が中心にあるという、珍しい物だった。
何よりAを驚かせたのは、刃に染み付いた鉄の臭い。血液の臭いだ。
相当の数の人を斬ったのだろうか。それとも…
「A様!!」
『亜噂か!どうした!』
「人が倒れていますし!」
『な……ッ!今行く!』
Aは亜噂の声のする方向に駆け出した。
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らん(プロフ) - おもしろかったです!やっぱり佐助は良い奴(*´ω`*) (2020年8月15日 23時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» それは次のお話で明らかになりますよ!今回もコメントありがとうございます! (2020年8月15日 18時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - お久しぶりです!面白かったです! 猿飛佐助は、今後仲間に入りますか?!(ネタバレすみません) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - かえこ(弟)さん» ありがとう。お前は早く勉強しろ? (2020年8月4日 11時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(弟) - 面白かったです マタオネガイシマス (2020年8月4日 11時) (レス) id: 1df8178e6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえこ x他1人 | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?
作成日時:2020年5月23日 21時