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【番外】シトリン【前編】 ページ28

これはまだ、私と夏目が小学生だった頃の話。



夏目の家族と私の家族で小旅行として行ったのは栃木県の日光。
当時の私は日光東照宮を見ても、「大きい所」としか思わなかったけど。
ともかく、止まったホテルにほど近い所に竜頭の滝という名所があった。
歌予さんに唆された私は夜、夏目と一緒に星を見に行ったのだけれど…。

(ここからは幼い瑚宵さん視点でお送りします)

迷った。
ついさっきまで夏目くんと手を繋いでたのに…。
明かりはある。
懐中電灯がひとつ。
最初は大丈夫!と思っていたけれど、段々と不安になってくる。
真っ暗…怖い。

「な、夏目くん!」

ふわっと響く自分の声に返ってくるのは虫の声だけ。
どこ…いっちゃったの?
下手に歩いて転んだりしたら危ないかも。
そう思ってその場に蹲る。
空を見上げれば星が綺麗に瞬いている。
それを見つめていたら、なんだか涙まで浮かんでくる。
私、このまま1人なのかな…。
お母さんに怒られちゃう。
夏目くん、大丈夫かな?迷ってないかな?
ついに涙が零れて、頬をつたい、ポタリと地に落ちた。
泣いちゃダメ…。
慌てて涙を拭う。

「夏目くん、泣いてないかな…。」

ポツリと、誰に聞かせるまでもなく呟いた言葉だった。
なのに、

「泣いてるのは瑚宵でしょ。」

後ろから、それに応える声が聞こえた。
振り向くと、大好きな人がそこにいて。

「夏目…。」

反射的に声が出た。
腰に手を当てて頬を膨らまして、明らかに『怒ってますよ』感を出す夏目くんに少し怯んだ。

「ほら、大丈夫?涙拭いてあげる。」

しゃがんだ夏目くんは自身の服の袖でやや強引に目元を拭いた。
痛いけど、嬉しい。

「出来た。」

それだけ言うと夏目くんは私の隣に腰を下ろす。

「もうダメでしょ。勝手にどっか行っちゃったら。探したんだからね!」
「ごめんなさい…。」

そういえばはぐれた原因は私が走ったからか。
とりあえず素直に謝る。

「もうここで星見よ。こんなにも綺麗なんだから。」

そうやって夏目くんが指さした先には、さっきよりもうんと輝く星の大群が見えた。
不思議だね、少ししか時間は経ってないはずなのにすごく綺麗なんだよ。
私はそっと手を伸ばして、夏目くんの手を掴んだ。

「またはぐれないように!」
「…いいよ。」

そう笑ってくれた夏目くんは、とってもかっこよかった。

【番外】シトリン【後編】→←作者からのお話



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設定タグ:あんスタ , 逆先夏目 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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*SSU* - 更・新・頑・張って・ください・ネ♪ (2020年4月17日 18時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
矢澤こゆき - 初コメ失礼します。目は大切ですし、後悔しては遅いので治療頑張ってくださいね!!更新も楽しみにしてます。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 9da7dff2c7 (このIDを非表示/違反報告)
Lien(プロフ) - 更新楽しみにしてます!これからもがんばってください! (2019年9月23日 19時) (レス) id: 023ad1d1e4 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 餅(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しみに見させてもらってます(*^ω^*)これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 803e6e2014 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お菓子なこいしさん» それはもう!お菓子なこいしさまの好きなようにどうぞ!よろしくお願いします(土下座)(土下座) (2019年9月2日 16時) (レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月17日 23時

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