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No.2 関係 ページ3

夏目の琥珀の冷たさに見ないふりをし、フラスコの中身をあおった。
フラスコの淵から口を離した途端に、全身が熱くなるのが分かった。
抗えないような、波。
負けてしまいそうになる、堕ちてしまいそうになる、崩れてしまいそうになる。
でも、それを許したら、私は、


夏目に会えなくなってしまう


だから、いつも通り、抑える。心を代償にして。
それでも、そうするのは酷くつらい。、目眩がする。


「どウ?」


下から覗き込むような形で私を見る。
、顔が近い。
ふわりと香る人工的ではない匂い、見透かされるような鋭い視線、余裕そうに上げられた口角、疑いたくなるほど長いまつ毛。
あぁ、今日も、この人は寸分狂わず違わず、綺麗だ。
じわり、と頬が熱を持つのを感じた。が、それも隠す。
バレちゃいけない。分かってはいけない。


「別に、普通。今日の薬…『叫びたくなる』やつ。趣味悪いよね、夏目は相変わらず。」
「本音を…だヨ。う〜ン、今日も失敗カ。なかなか瑚宵に魔法はきかないネ。もうちょっと強めのをつくろうかナ。」


こ、れ以上はきつい。
私は既に叫びたい。
叫んで、全部ぶつけたい。
夏目に、全部話したい。

大好きって。愛してるって。誰よりもって。

でも、全て飲み込む。飲み込まなくてはならない。


私は、彼の、実験動物。


そう、何度も言い聞かせた言葉。


「強くしたら私の体に影響出る?それはやだなー。一応女の子ですよ、私。花の女子高生ですよ?」


フラスコをくるくると回しながら、余裕そうにかえす。


「女の子と瑚宵を一緒にしたラ、ファンの子達が可哀想ダ。」
「ひどっ!あぁもう、朝ごはん食べてくる!」


そして私は、今日もまた、夏目の魔法にかかっていない振りをする。

No.3 叫音→←No.1 開始



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設定タグ:あんスタ , 逆先夏目 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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*SSU* - 更・新・頑・張って・ください・ネ♪ (2020年4月17日 18時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
矢澤こゆき - 初コメ失礼します。目は大切ですし、後悔しては遅いので治療頑張ってくださいね!!更新も楽しみにしてます。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 9da7dff2c7 (このIDを非表示/違反報告)
Lien(プロフ) - 更新楽しみにしてます!これからもがんばってください! (2019年9月23日 19時) (レス) id: 023ad1d1e4 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 餅(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しみに見させてもらってます(*^ω^*)これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 803e6e2014 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お菓子なこいしさん» それはもう!お菓子なこいしさまの好きなようにどうぞ!よろしくお願いします(土下座)(土下座) (2019年9月2日 16時) (レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月17日 23時

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