情報屋Nの受難【名探偵コナン】

case.14 ページ15

「お待たせしました。」



二人の空気を割いてテーブルの上にオムライスのプレートを置いた降谷は、何時もの喫茶店員の顔で、「ノアの方舟って大洪水にまつわるあの？」と自然に会話に入ってきた。





「うん！この前、Aお姉さん、安室さんに
"神と共に歩んだ正しい人"って言ったんでしょ。それって、ノアの方舟の"ノア"のことでしょ？」





『私に負けず劣らず物知りだねぇ、コナンくん。』





Aはオムライスをつつきながら呟いた。
スプーンで卵を崩せば、ご飯が卵の膜に覆われ、それに思わず感嘆の息を漏らす。





そのオムライスをスプーンで一口掬って、口に含んだ。




『…！！うんまぁ』




ほっぺたが落ちそうなくらい美味しいとはまさにこのことである。





「お口に合ったようで良かったです。」





『天才ですか、安室さん。…あっ、私に気にせずどうぞ続けて。』




口一杯に詰めたオムライスを咀嚼しながら、コナンに続きを促せば、彼は若干呆れた顔をしながらも言葉を続けた。





「…最近噂で腕の立つハッカーがいるって聞いたんだ。男か女かはわからないけど、情報屋をやっているって。その情報屋が名乗っているのが__」




『"Noah"。

"Noah's Ark"___つまり、ノアの方舟とは旧約聖書の"創世記"に記述されてる、ノアの方舟にまつわる大洪水の話。地上に増えた悪しき人々の種を滅ぼす為に、神は"神と共に歩んだ正しい人間"であるノアに箱舟の建設を命じた。その箱舟に乗っていたノアとその家族、動物たちだけが助かったという______



さて、神とノアの行為は善か、それとも悪か。…あ〜、オムライスうまっ』




コナンと安室はAの話に暫く耳を傾けていたが、最後の一言でがくりと項垂れた。



いまいち締まらない人だな、とコナンは心中思った。

case.15→←case.13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す