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遠く離れた埠頭で暇を潰した
いつの間にか辺りは薄暗く、吐く息が白く濁る
" 俺は世界一のストライカーになる "
ここはよく兄貴と来ていた場所
ここで、この場所で……大きく描いた夢の話を聞かせてくれた
神様が与えてくれる "特別"とやらは
兄貴を高みへ誘い、人生を大きく変えるほどの夢を与えた
あの頃の私はただ、兄貴のように
" 自分だけの特別 "が欲しくて、探していたんだ
功績を認められ、与えられた賞状は内容すら覚えていない
何をしても満たされる事はなかった
親が子供の幸せを願う事が当然だと言うのなら
あれは全部……私を思って与えてくれた"愛"だと言うの
は……なんだそれ、笑えるな
両親は、一度だって "私"を見てくれたことはあっただろうか
一度でも、私を愛してくれたことはあったのかな
" 失せろ、俺の人生にお前はいらねぇんだよ"
兄貴は、どうして私を認めてくれなかったの
ねぇ、教えてよ
生まれ持った才能？
そんなもの私にあるの
たとえそれが、平等に与えられていたとしても私には必要ない
私が欲しいものは "才能"なんかじゃなかった
遠くから聞こえた足音
私の名前を呼ぶ優しい声
A「サッカーで、世界一になるんだって」
消えてしまいそうなほど掠れた声、あんたに聞こえてんのかな
A「サッカーが誰かを変えてしまうなら
私は凪にも、あんたにもサッカーして欲しくない」
いつか私を置いて離れていく
それならいっそ、初めから……
玲王「凪はお前を置いて離れたりしねぇ」
A「……何も知らないくせに」
玲王「話そうとしねぇのはお前だろ。
凪は何度も聞こうとしてた。
それなのにお前は目を背けて楽な道選んで逃げてるだけ」
煩い……何も知らないくせに
誰かに認めてもらえなきゃ意味が無いあの世界で
兄貴の言葉を信じて、兄貴の背中だけを追いかけた自分が
今じゃ馬鹿らしく思える
夢を諦めなきゃならなかった自分が惨めで堪らなかった
だからか、あんたを見てるとイラつくんだよ
A「楽な道…か」
そうだ、確かあの日は雪が降ってたっけ
平気なわけじゃない
｢大丈夫｣って言葉、受け止めて自分に言い聞かせても
こんな夜はいつも思い出してしまう
大切な誰かが、
私の傍から離れていくのは嫌なの
もう嫌なんだよ……
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咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (9月28日 21時) (
レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 | 作成日時：2022年12月10日 16時
