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私達を繋いでいた糸が
音を立てて少しずつ擦り切れていくみたい


" 助けて……誠士郎 "


あの時、キミの所へ行かなければ
約束なんて硬い契りを交わさなくても
私達は普通に笑っていられたのかな


冷たい檻の中で生きていたって凪に会えれば救われてた私は
ピエロみたいにさ、その表情が全て偽りだとしても…


普通に笑えてたのかな


凪は私と出会ってなかったら
もっと違う人生だったのかな…


そう思うと止まらなくなって鼻の奥がツンとする



少し広いベッドはいつものような温かさはない
毎日のように幸せな夢を見れたのは、凪にくっついて寝てたから


今はない温もりに、寂しさを感じたままゆっくり目を瞑る
凪に背を向けて静かに涙を零した



凪「A」


静かに息を殺して
君の声に、聞こえないふりをして





あの日を境に私達にできた小さな溝は
日が経つにつれて大きく、深くなっていく





凪「ねぇ玲王、
玲王のせいでAに嫌われたんだけどどうしてくれんの」




玲王「はぁ!?俺のせいかよ
一緒に住んでんじゃねーの?
いいじゃねーか別に学校でまで一緒にいなくたって」




凪「玲王はわかってないね。俺が嫌なの
Aがいなきゃサッカーしてても面白くない」




玲王「あー、、それはだいぶ重症だな…
で?そいつは今どこにいんの」




凪「分かってたらこんなとこいないし」




何度も送ろうとしたメールも
後は押せば繋がるだけの電話も


出来なかったのは
何て声をかければいいのか分からなかったから



 

凪「約束したじゃん…」





Aの心が壊れた時、俺は傍にいられなかった


あの時の俺は何もできなかった





" 助けて……誠士郎 "





泣いて助けを求めるAの声が消えてしまいそうで、
思わず抱きしめたのを覚えてる




「凪、凪」って
何度も俺の名前を呼んで涙を流してさ
まるで幼い子供みたいに俺の腕の中で
泣き疲れて寝ちゃったんだよね…




Aが俺の前からいなくなるのは嫌だよ
会えなくなるとか俺が無理だし




"いなくならないで…"




きっと俺の方がAを繋ぎ止めるのに必死だった
 




こんな俺を必要としてくれた
たった一人の……大切な人だから


だからあの時、手を伸ばしたんだよ
消えてしまう前に…
またあの頃のように笑っててほしいと思ったから





玲王「なんて顔してんだよ、凪。
ほら、探しに行くぞ。絶対見つけてやるから
俺を誰だと思ってんだ」







凪「うん…ありがと、玲王」

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咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (9月28日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年12月10日 16時

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