88 ページ38
灰崎視点
灰「なあ、ほら、言えよ」
貴「……っ、確かに…イヤだったわ。私の穢らわしい姿を、好きな人に見られたんだもの。普通の人にでさえ見られたくないのに…」
Aは諦めたようで、話してくれた
ポツリポツリと少しずつ
貴「貴方が助けに来てくれた事は、とても嬉しかったの。あの時…とても怖かったから…。でも、背中は………っ」
灰「……なあ、こんなとこに無理やり連れてきて言うのもアレなんだけど…その、背中…見ちまって悪かったな」
貴「…あら、良いのよ。こちらこそ申し訳ないわ、あんな姿を……晒してしまって…」
灰「…………俺は別に、驚いただけで気持ち悪いとか思わなかったけど」
貴「……それはとても嬉しいわ…。でもね、私が…イヤ、だったの、見られたくなかったの…」
灰「…………………そうなった原因、教えてくれって言ったら、教えてくれるか?」
貴「えっ…」
虹村さんにはああ言われたものの、気になってそう聞いてみた
Aの目に困惑の色が浮かんだのが分かる
貴「あ、の………い、言えないわ…」
灰「……どうしてもか?」
貴「どうしてもよ……。だって、これは…冷泉にも関係する事なのよ…私と修造と、お父様しか知らない事なの」
灰「…虹村さんから聞いてる」
貴「………それなら、どうして…」
灰「お前の口から、何があったのかを聞きたい」
貴「……っ」
Aは悲痛な表情をして下を向く
ああ、また泣かせてしまっただろうか
違う、俺は泣かせたいわけじゃないんだ
灰「……A、」
貴「あ……い、言え…ない……わ…」
灰「…………そうか」
貴「……………………あの……でも、誰にも…本当に誰にも、言わない、なら、」
Aが勢い良く顔を上げて、俺にそう言う
虹「A!」
貴「あッ、しゅう、ぞ…」
虹「こんなとこにいたのか、探したぞ」
貴「ごめんなさい…」
………虹村さんが来たせいで聞けなかったじゃねーか
くそ…
灰「……あー、わり、虹村さんに連絡してなかったわ」
貴「…してくれると言ってくれたじゃない」
灰「悪かったよ」
虹「ほらA、帰るぞ。久しぶりで疲れたろ?」
貴「…ええ、そうね。祥吾、私もう帰るから…また明日」
灰「ああ、またな」
挨拶をしてそのまま帰ろうとした
すると横を通りすぎた虹村さんに耳打ちされた
『余計な事に首突っ込むなよ』
灰「あァ?」
虹「じゃあな、灰崎」
……わざと遮ったってわけかよ
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
碧夜叉 - 灰羽さん» 本当ですか!!嬉しいです!これからも更新頑張りますね! (2018年7月27日 7時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
灰羽 - 話の展開が凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2018年7月26日 23時) (レス) id: 25c64ff54b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年6月23日 0時