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あれから私は一歩も外へ出ずに夏休みを終えた

そもそも今回の件があり、お父様はお見合いを一旦中止にしたらしい

だから暫く家にいることになる、と修造に言われた

だから私は起きて、フランス語をお勉強して、寝るという毎日を繰り返した

外には出たくなくて、もう何もかもがイヤだった

それでも身体に教養は身につけないといけないというのが染み込んでいるのか、フランス語のお勉強は捗る一方

夏休みが終わる頃には一通りこなせるようになっていた

毎日を機械的に生きて、夏休みが終わる

終わっても、私はお家から出ない

出ないのではなく、出たくない

それでいて、出られない

学校へ行きたくないのと駄々をこね、修造を困らせた挙句私は学校を休んでいる

お父様も理解してくれたようで、私が休む事を咎めたりはしなかった

一番つらいのは、何も知らない従者が一生懸命私を学校へ行かせようとすること

優しさからやってくれているから無碍にも出来ない

ただ、最近は諦めたのかいつも通り優しく接してくれる

……何が原因かなんて、分かっている

背中のこと

トラウマが鮮明に蘇って、気持ち悪くなって、何度か吐いてしまうこともあった

絶対に、誰にも知られたくないこと

それをよりによって祥吾に見られてしまうなんて

こんな私をどう思ったのだろう

穢らわしいと思っただろうか

気色悪いと、思っただろうか

何だよその背中、気持ち悪ぃ。と、彼は言うのだろうか

痣だらけ、傷痕だらけの背中を、彼は…っ

ああ……バカね、どうして祥吾の声で再生してしまうの?

さっきの台詞は、いとも簡単に脳内で祥吾の声で再生された

聞き慣れてしまっていたから、いつもの声のトーンと話し方を、容易く想像させる

でも軽蔑されたでしょうから、きっといつもより声のトーンは低いわね……

…苦しい………

あの出来事から、私は頻繁に泣くようになった

苦しくてどうにもならなくて、泣き出してしまう

そして今も、自然と涙が溢れてくる

涙を拭っていると、突然ドアが開いた

ノックをしない開け方は、修造しかしない


貴「……おかえりなさい」

虹「…ただいま。また泣いてたのか」

貴「ええ…」

虹「…学校、行かないのか?赤司たちも心配してたぞ」

貴「……行きたくないわ」

虹「そうか…」

貴「…ごめんなさい」

虹「別に悪い事じゃねぇから、気にすんな」

貴「…ありがとう、修造……」

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碧夜叉 - 灰羽さん» 本当ですか!!嬉しいです!これからも更新頑張りますね! (2018年7月27日 7時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
灰羽 - 話の展開が凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2018年7月26日 23時) (レス) id: 25c64ff54b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年6月23日 0時

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