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23話 手を伸ばす ページ23

 
 
 
スマホに表示されているのは、現在の時刻。

はじめさんの家を出てから30分が経過した。



だいちさん…作戦はどうなったんだろう。





「Aちゃん、次は何が必要?」





やふへゐさんの声に、急いでスマホを閉まった。



いけない。


やふへゐさんが食材を探してくれているんだから

こっちに集中しなきゃ。





「買い出しに付き合って頂いてすみません」





「いやいや。手伝う立場だから、気にしないで」





そう、今日の夕食はようやく例の企画。

はじめさんが提案した、週に1度の健康企画だ。



やふへゐさんは1番目。

そのために、ショッピングセンターに来ていた。





「この棚ですね」





歩いてすぐに、調味料の棚に着いた。

沢山の種類が置いてあって見てるだけで楽しい。


えーと、お目当てのものは…





「あ、ちょっと飲み物とってきていい?」





「はい、わかりました」





やふへゐさんが早足で去っていくのを見送って

改めて、辺りを見回してみる。



…思ったより、棚の上の方にあった。


周りに脚立は…ない、か。



限界まで背伸びをして手を伸ばす。





「…あ」





いきなり後ろから、黒い大きな影が覆いかぶさり

軽々しく目当ての物が空中に浮かんでいく。



私は驚いて、視点がぐらっと揺らいだ。





「え、あ!ちょっ、危ない!」





聞き慣れた声とともに、後ろに倒れてく。

床は固いコンクリート。



痛みを耐えるために目を閉じてその瞬間を待つ。



しかし、やってきたのは…


柔らかい布のような感触だった。





「…はー。ほんっと、びっくりした…」





…痛くない。


私の体は、やふへゐさんの腕に包まれていた。

気づいた時には、心拍数が徐々に上がっていく。





「…っ!やふへゐさん、すみません!」





鼓動が速くなっているのを感じながら

慌てて重心をかけている体を起こす。





「ごめんね、Aちゃん。痛いところはない?」





「いえ、ありがとうございました」





私がお礼を言うと、

やふへゐさんは安心したように笑いながら

私に取ったものを差し出した。



…顔が熱くてたまらない。

やふへゐさんには助けて貰ってばかりだ。
 
 

24話 重なって→←22話 好きの感情



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作品ジャンル:恋愛
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影裏(プロフ) - 更新まってます!! (2022年6月6日 4時) (レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります! 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました!いいお話ですね!一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか? (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました! (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます!いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりんみみ | 作成日時:2018年12月23日 15時

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