専属トレーナー？！私があなたを支えます！2 (ページ19)

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68 グランプリファイナル1日目ページ19

『はぁ、部屋が近くてよかったよ…』

まだ泣いているヴィクトルをベッドに座らせて向かい合い、目を見る

『ヴィクトルはなんで泣いてるの？』

落ち着いたトーンで話すと

ヴィクトルはボソボソと話し始めた

ヴ｢…勇利がグランプリファイナルで…終わりにしようって…勇利は今シーズンで引退する…｣

『えっ…』

ヴ｢俺はっ…怒ってるんだ…勇利は自分は引退して俺には現役復帰しろって言うんだ！

勝手すぎるよ…｣

ヴィクトルがここまで頭を悩ませて、泣いてるなんて、専属やってた頃には見れなかった姿

でも、怒ってるとは言ってるけど、それだけじゃない気がするんだよなぁ

『ヴィクトルは半分怒ってて、半分悲しいんじゃないかな？』

ヴ｢え？…｣

『だって、怒ってるとは言っても、表情は寂しそうに見えるよ

本当に怒ってるだけ？』

ヴ｢悔しいんだよ…勇利はスケートの環境に恵まれて、支えてくれるたくさんの人がいる

俺は何度も勇利の行動には驚かされてきた

勇利は世界を驚かせる才能をもってる…

なのに…今シーズンで終わりだなんて…｣

今のが勇利くんに対する本音だね

『だったら、その気持ち勇利くんに言ったら？』

ヴ｢えっ…｣

『今さら、本音が言えない関係じゃないでしょ？』

ヴ｢そうだけど…｣

『本音を伝えられないコーチと選手はいつまで経っても距離は遠いままだよ

大丈夫！不安に思うことなんて何も無いよ

ヴィクトルと勇利くんは私が見てきた中で1番コーチと選手としていいコンビだもん！

だから大丈夫だよ、｣

そっと優しくヴィクトルの頭を撫でると、まだ乾いていない濡れた髪が静かに揺れた

ヴ｢…ありがとうA｣

『いつでも助けるよ。だからいつでも頼ってね』

ヴ｢っ！…じゃあ、早速1つ頼み事してもいいかな｣

『うん！いいよ』

ヴ｢じゃあ、抱きしめて一緒に寝てほしい｣

『うん、わかった。でも髪濡れて…』

ヴ｢いいよ、気にしない｣

きっと勇利くんの部屋に戻るのが、まだ少し気まずいのかな？

滅多に甘えないヴィクトルが本気で甘えているんだから

このくらい甘やかしてあげないとね

ちょっと恥ずかしいケド…/////

『おやすみなさい、ヴィクトル』

さっきと同じように優しく頭を撫でると

ヴ｢おやすみ、A…｣

ヴィクトルはギュッと私を抱きしめて眠りについた