恋せよ乙女 ｰ佐野玲於ｰ

.4 ページ4

貴女「ただいま」



学校が終わり、バイトに行って

いつも帰りつくのは夜の12時前



母「おかえりなさい」



貴女「うん」



まだ起きてたんだ



母「ピアスのレッスンはしてるの？」



できるわけないじゃん

お兄ちゃんのこと思い出しちゃうし、弾いたら弾いたで下手くそとか言ってくるくせに


そんなこと言えるはずもなく…



貴女「やってる」



水を飲みにキッチンへ向かった



貴女「……」



これ、私が作ったご飯

捨てられてる



母「夜ご飯ならコンビニで買ってきたから大丈夫よ」



貴女「…そ」



お母さんは、私が2歳の頃離婚をした

そしてまだ立ち直り切っていないときにお兄ちゃんを亡くした


元から好かれていなかった私だけが取り残された



貴女「ちょっと外出てくる」



何でこんなに嫌われているかは分からない

でも、もう慣れっこ


暗い道を1人でとぼとぼ歩いていると



玲於「あれ、宮野さん？」



貴女「？」



玲於「俺だよ、俺。佐野玲於です」



貴女「ああ」



玲於「こんな時間に1人とか危ないよ？」



貴女「大丈夫だよ。1人には慣れてるし」



玲於「そういう問題じゃないでしょ。この辺に住んでるの？」



貴女「まあ、すぐそこに」



玲於「そっか。俺も近くなんだー」



貴女「へえ」



玲於「もうちょい興味持ってよ」



貴女「すいません」



玲於「これからコンビニ行くけど行く？帰りは送っていくし！」



貴女「うん、行こうかな」



玲於「よし、決まり！」



ニコッと笑った笑顔は見たことがあるような気がした



貴女「…」



玲於「ん？」



貴女「あ、いえ。行こう」



玲於「うん」

.5→←.3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す