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酸鼻を極める ページ48

貴女side

目の前には。
私の体。

傷だらけで、身纏う貫頭衣に血が滲んでいる。

…なんで自分が見えるの?

私の体に触れようとする。

でも、するりと透き通って、触れなかった。

…気づいた。

貴女『私、殴られ過ぎて死んだんだね…』

魂だけになった私。

死んだのか。

そっか。

死んだんだね。私…。

でも、条件は満たしてもらえたから、みんなは幸せだよね。

それなら良かった…。

私はこの村の権力者の“殴られるだけの道具”にされていた。

あの世に行けば、丁やお父さんお母さん、フウガに会えるのかな…。
会えたらなんて言おう…。
ていうかあの世ってどうやって行くの?

ぼんやりとそんな事を考えていると、扉の壊れる音がした。

真っ暗な倉庫に少し月あかりが入る。

目に入ったのは、

黒い着物を着て、頭にバンダナを巻き、金棒を担いだ男の人と、その背後に見える下弦の月だった。

その男の人は死んだ私の体に視線を落とす。
そして顔を覗き込む。

?「……A?」

その声でわかった。

少し低い声だけれど、丁の声だ。
わかる。

…丁は生きていたの?

「っ!A!」

その男性は私の遺体を抱き締める。

その衝動でバンダナが取れた。

尖った耳と白い見事な角。

…鬼?

丁は鬼になったの…?

貴女『っ丁!』

呼んでも返事はない。
私の事が、見えないの…?

そりゃ、私は魂だから、見えない筈だけど。
なんか鬼は魂とか見えそうなイメージがある。
でもどうやら私の事は見えてないようだ。

嗚呼、君の温もりを感じたいな…。
触れたいな…。

その鬼を抱き締めようとしたけど、やっぱり触れられない。

…目の前に君がいるのに……。

丁だと思われるその鬼は私の遺体を抱き締めて泣いていた。

…鬼ってどこで暮らすんだろう……。
あの世?

だったらあの世に行ったら私の事が見えるかな…?

でもあの世ってどうやって行くの…?

吸い込まれるように勝手に行くもの?お迎えが来るの?私自身で探すもの?

頭の中がいろんな事でいっぱいになって、どうしようもなくなってきて、私は叫んだ。

その叫び声さえ、誰にも聞こえない。

嘆かわしい。

頭を抱えていると、倉庫に誰か入って来た。

入り口には、目を点にしたミカさんが立っていた。

想いのまにまに→←物騒な世の中



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- 絵上手いですね! 書き方教えてほしいです、、、、。私、好きな人がいます。告るか悩んでて、、、。どうしたらいいですか? (2020年10月20日 11時) (レス) id: bcdcf4ec06 (このIDを非表示/違反報告)
- 謎の沈黙ターイム(バリトン)wwこれ、気に入りましたww (2020年10月20日 11時) (レス) id: bcdcf4ec06 (このIDを非表示/違反報告)
雛紗(プロフ) - もんじゃさん» コメントありがとうございます!え!本当ですか!?嬉しいです^^ありがとうございます! (2018年6月15日 19時) (レス) id: db311f7197 (このIDを非表示/違反報告)
もんじゃ(プロフ) - 絵めっちゃ上手ですね!! (2018年6月15日 17時) (レス) id: 84ebad2ff3 (このIDを非表示/違反報告)
メグル - 雛紗さん» 承知っすw (2018年6月13日 22時) (レス) id: 5915396e2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛紗 | 作成日時:2018年4月9日 17時

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