夢の世界へ誘われ【文豪ストレイドッグス】

夢24 ページ25

あのあと、無用心にも鍵を掛け忘れた儘寝てしまった。

……それだから、なのか。



目が覚めると、部屋に漂う食欲そそる香り。
そして、昨日の惨状が嘘のように、綺麗に整頓されていく部屋。
慌ただしく動く、無数の人。


はっ…と飛び起き、状況を再確認した。
私の部屋に、無数の人が出入りし、
綺麗にしている。
鏡花ちゃんが、ご飯を作っている。
紅葉姐さんが、無数の人に指示を出している。




「…………な、謎だ…」


不思議な光景を前にし、それでも少し、冷静でいれた。


「A！やっと起きたのぅ…。」


…随分と、心配してくれたようで。

…にしても、紅葉姐さんが来てくれるとは…


「ふふっ…中也はちょいと、外せぬ用事が出来てのぅ？」


悪戯っ子の様な笑みを向けられた。

………読心術って恐ろしい…。


「……Aは、顔に、出やすい。
…私もわかる。

……はい。できた。」


また心を読まれた上に、美味しそうなご飯を机に置かれ、
私のプライドがずたずただ。


とはいえ、プライドの為に朝御飯を食べない訳にもいかない。
私のプライドなんて、所詮はこんなモノなのだ。

箸をしっかりと持ち、お魚を口に運ぶ。

程よいほろほろ具合で、味もいい。
白米も、つやつやで甘い。


「………お、美味しい……っ！！」


ぱぁっという効果音が出てきそうだった。

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