夢の世界へ誘われ【文豪ストレイドッグス】

夢17 ページ18

………この人ハ、逃げないんダ？

お母さんとお父さんみたいニ、逃げないんダ？？


ふぅーん……変なノ。怖くないノ？
意味がわからないなァ……



そう思い、視線を横へ滑らせる。

そこには、脂汗を額に滲ませ乍、出口へ逃げようとする木下がいた。


…この人ハ、今逃げていル。排除。ハイジョ。殺しましょウ？？


「……くすっ………木下サン、さようなラ………？




………『夢現･散花』」


狂った少女は、木下を濃い紫に染めた。
光が収まり、そこにいたのは、あのときの父のように力なく横たわる汚れた中年。


「くすくすっ…ふふっ……私から逃げれるわけないノッ！！！
あはははハっ！！…でモ、血が出ないのハ、とても残念ネ……？」


くすくす…とこの場に似つかわしくない笑い声が響く。


その少女に近付く、一人の男。

「…手前………本当にAか………？」


「……中也サン、私ハ、私ヨ。
…でもネ、私は私でモ、私じゃないノ。不思議でショ？？」


くすっ…と可愛らしい声で笑い、純粋な目で中也をみつめる。
本当に、楽しそうな。
まるで、大人になぞなぞをする子供のように、純粋に楽しんでいる表情。


「………チッ…こういうとき、彼奴が居ると楽…だがなァ…」


子の扱いがわからない人みたいに、眉をよせる中也。

それをみて、Aは悲しそうに顔を歪めた。



「…平気。ヘイキ。もう終わル。
目的ハ、果たしたノ。逃げる奴等ハ、皆殺シ…くすくすっ……」

笑い声も尚、悲しそうだった。

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