夢の世界へ誘われ【文豪ストレイドッグス】

夢16 ページ17

高城Side


「……………ねェ……
どうして私を…傷つけるノ……？」


小娘が紫に光ったあと、まるで別人のように笑っていた。
さっきまで、あんなに弱そうだったのに。何故？

(………二重人格か…？)

……否、違うな。
………異能だ。
紫の光。異能なら、納得がいく。


………だが、厄介だな…。


「……オイ、高城。こりゃあ一体どういう事だっ！！！
こんなこたぁ、俺は聞いちゃいねぇっ！！！！」


木下が、壁を殴る。
ボロボロと、コンクリートの破片が崩れていく。

…煩い。
………俺だって…


「……俺だって、こんなこと聞いちゃいねェ！！
依頼が来たから実行しただけだっ！」


「ポートマフィアの幹部と小娘が来たら、とことん殺れ。」……そう云われただけなんだ。

幹部は異能力者だが、異能は使わない。そう云われたから、受けた依頼だ。

……小娘が異能力者なんて………………


「……くそ…騙された………」


でもまァ…死ぬこと承知で始めた仕事だ。
……別に、今死んだっていい。

…世界でも珍しい、異能で殺されるのならいいのかもしれない。



「…チッ……俺はもう帰るぞっ！！
こんなところで死んでられっかっ！！！」


木下が、出口へと向かった。
背中をみせて逃げるなんて…馬鹿かよ。


「……………あなたは…逃げないノ？
もしかしたら…助かるかも……なのニ………？」


ふっ…と鼻で笑い、俺は目を閉じた。


瞼を通して、木下がいたところから濃い紫の光が見えた気がした。

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