好きになる奴を間違えた【出水公平】 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:14,516 hit

８ページ9

・

遠征帰りというのにモデルの仕事を入れられていたから、三門市から少し離れた海辺で撮影をした。

朝早くから撮影したから学校は途中から行けば、丁度お昼休みで教室には公平や陽介の姿が見当たらなかった。
お昼ならあの二人は秀次を連れて屋上かな。屋上に向かう途中紅茶だけ買ってから向かえば、案の定公平、陽介、秀次が居た。

「やっぱりここか。三人共寒いのによく屋上で食べれるね」
「こいつが無理やり連れて来たんだよ。おれと三輪は教室で良いって言ったのに」
「こんなに天気が良いのに外で食わねえ方がおかしいだろ」
「まあ、いつもと比べたら今日はまだマシだけどね」

公平の隣に座って私は買ってきた紅茶を一口飲むと体がポカポカと暖かく感じた。
はぁ、美味しい。

「そういや玉狛の黒(ブラック)トリガー正式にボーダーに入ったらしい」
「俺ら、その黒(ブラック)トリガーと戦ったことあるぜ！」

負けたけどな、とケラケラと笑いながら答える陽介に秀次は怪訝な顔をしていた。相当負けたこと根に持ってるな。

陽介と公平の会話を聞きながら携帯を触っていたら
電話が鳴ったので取ってみれば「Aー！」と鼓膜が破けるんじゃないかと疑うほどの声量が。

『あんた遠征から帰ってきたなら連絡ぐらい寄越しなさいよ！』
「あ～、ごめん桐絵。で、私に何か用かな？」
『あ、そうそう。今日私が夜ご飯作るから玉狛に来なさいよ！』
「りょーかい。久しぶりに桐絵のご飯楽しみにしてるね」

じゃあね、と言ってぷつんと電話を切る。
久しぶりに玉狛で食べるな。玉狛でご飯食べるついでにお菓子でも持って行ってあげるか。桐絵も喜ぶし。

そんな事を考えながら私は紅茶を口にした。