第72話:あの花は ページ36
〜生徒会室〜
アメリ「……一体、何が起こったんだ」
「どこかに…………あっ」
生徒会室に駆け込むと、窓の外には見慣れた景色。
ただ一つ、たったひとつだけいつもの景色と違うことがあった
「これは…」
アメリ「(あれは)」
少しだけ開いた窓から、そよ風に乗ってふわりとやってきた小さな花びら
優しくて淡い桃色をした"それ"は、細長いハートのような形だった
アメリ「(あれは、人間の世界にしか咲かない………)」
「……さ、」
アメリ「えっ?」
△△△
『…綺麗』
少年『Aは本当に——が好きだな、理科、しかも生き物の勉強ばーっかりしてるし』
『生命の神秘は勉強してもしてもし足りないからね。………それに、——は1番謎の多い花だよ。何のために花弁を散らすのか未だに明かされていないんだ。ほとんどが実もならないし』
少年『えー?うそだ、じゃあさくらんぼは?』
『あれは——と言われるものにしか実らない。この手の——にさくらんぼは実らない』
少年『へぇー』
『どうして、こんなに儚く、こんなに艶やかに散るのか……私が明かしたいんだ』
少年『俺はなんでもいいけどなぁ。綺麗だな、って思うだけで。花見できるだけで楽しーじゃん!』
『花見、ねぇ』
△△△
「う"っ………」
アメリ「先生!!」
頭を金槌か何かで殴られたような痛みを感じ、小さく呻く
隣にいたアメリが、しゃがみこんだ私に寄り添うかのように屈んで声をかけてきた
アメリ「A先生、大丈夫ですか!しっかりしてください」
「だ、大丈夫だ。大丈夫だから。……ありがとう」
突然、頭に流れ込んできた………ずっと昔の、まだ平和だった頃の記憶。
小学生だった私と、仲の良かった男子で帰り道を歩いていた時の…
「(ここ百年、この花を見ていなかったから……完全に忘れていた)」
あれは、
.
.
あの花は…………
「桜………」
アメリ「先生……」
桜だ
魔界には咲かない、人間の世界にだけ咲く儚い花。
これを咲かせられるのは、私が知る限りたった一人しかいない
「…入間だ」
アメリ「…特待生入間、か。……やはり1度話を聞くべきですね」
「……え?」
もしかしてアメリ、入間のこと…疑ってる、のか………???
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えんさん(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこ様、コメントありがとうございます!80.5話は私もお気に入りの回なので、喜んでいただけて嬉しいです☺︎ 今後もよろしくお願い致します! (2022年8月2日 12時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 80.5話最高(遺言) (2022年8月2日 11時) (レス) @page50 id: 3717c310ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えんさん | 作成日時:2022年7月11日 23時