Bad ∞ End ∞ Night (ページ9)

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Ⅷ ページ9

その頃、ミクは夢を見ていました。

『ミリ「ミク、ミーク？」

「………？お…母…さ……ん…？」

自分が幼い頃に殺された母が、

自分にそっくりの長い髪と深い緑色の瞳の母が、

たしかにミクの目の前に立っていたのでした。

「ここは…どこなの…？」

ミクは悲しい過去を物語ろうとする深い緑色の瞳をじっと見つめました。

ミリ「貴女の夢の中。」

「………夢………？」

ミリ「ミクはね、館の住人たちから逃げる時階段から落ちて柱時計の長針が胸に刺さって。

今、意識不明なのよ。」

「………長針…で…」

ミリ「ねぇ、ミク」

「………………？」

ミリ「………渡したいものがあるの………」

「え…？」

ミリ「………これ」

「手紙………？」

ミリ「…そうよ。」

「…ビュルレより、我が孫へ…」

ミリ「………………」

「………ビュ…ル…レ…？」

ミリ「…貴女のお祖父様の名前。」

「ビュルレって…"彼"のこと…？」

ミリ「………ビュルレ座」

「Bad∞End∞Nightを作ったのも…ビュルレ…なの…？」

ミリ「…えぇ。貴女がこれまで目指して来たビュルレ座を設立したのは貴女のお祖父様。そして、私の父親である………………

　ビュルレよ」

ミリはそう打ち明けました。

「………私が…ビュルレ座を………」

ミリ「………………」

『我がビュルレ座を守り抜こうという意志のない者はどんな者でも斬り捨てなさい。』

ミリ「………『たとえそれが…ミク、お前自身だったとしても』」

「………守らなきゃ、ビュルレ座を…」

ミリが手紙の一文を読み上げるとミクは決意したようにミリへと向き合いました。

「………お母さん。」

ミリ「………いつでも、見てるからね…お父さんと、お祖母様と………お祖父様と。」

「………うん！見てて…お母さんたちを殺した犯人も…必ず探し出す。だから………

それまで…待ってて」

母の言葉に勇気を貰ったミクは、母に背を向け歩き出しました。

ミリは、そんな娘に優しく微笑み淡い光に包まれてやがて風と共に消えていきました。