22.永遠なる眠りと祝福を貴方様へ ページ25
二人が喫茶室へとつく頃
与謝野は静かに遺体の女を眺めていた
特別均しい訳ではない、だが女の首に掛かったネックレスは与謝野にとって大切な物であり一番のトラウマでもあるものだった
ネックレスには沢山の「正」の文字
与謝野の髪は乱れ、ひきつった笑みを与謝野は浮かべた
そして雨芽に貰っていた店員の名、親族を纏めた書類を取りだし女の名を探した
女の名は、深瀬 湖和
あの頃の戦争の中、食堂のお手伝いへと連れてこられた人間であった
女は平和を訴えるため店員として働きながらも講演を行っており、戦争での遺品等を麗しいその身へと纏って戦争の苦痛をいつまでも忘れぬ様にとしていたそうだ
与謝野は歯を食い縛ると女の遺体へと話しかけた
「アンタも苦しかったのかい?もう休みな」
そこへ二人が帰ってくる
雨芽は女の元へと歩いたあと、立ち止まり両手を握り言った
『__永遠なる眠りと祝福を貴方様へ。』
雨芽の瞳からは涙が落ちていた
女は雨芽へ昔から戦争の話をよくしてくれていた
その苦痛さ、人間として生きること
当時、暗殺者として数多の人を手にかけてきた雨芽にはそれらは聞いたこともない異世界の、人間の話であった
そして女は話の最後決まっていっていたのだ
「永遠なる眠りと祝福を彼らへ」と
雨芽は小さく項垂れると遺体の女を抱き締めた
女の腹からはまだ生暖かい血液が流れ出ていて雨芽の着物を赤く染める
「雨芽、悔しいのは分かるさ。妾だってそうさ、…でも美和は充分活躍しただろう?死を嘆くんじゃない、死へと送りだしてやるんだ。きっと美和はその方が喜ぶよ…」
「らしくないこと言っちまった。まぁ雨芽、アンタらしく生きな」
雨芽は暫く唖然とし、切り替えると満面の笑みで
『ご来店ありがとうございました』
そう言った
_
「青梅 雨芽_数多の人を手に掛けたと言われる月花の暗殺者。さて、そろそろ動かなくてはなりませんね」
朝日が登るのを見ながらグラスに手を掛けると薄く口を開き赤いワインを飲み干す
グラスを机に置くとフョードルは血塗れのその部屋を後にした
23.道化師様、いらっしゃいませ。→←21.朝陽、いらっしゃいませ。
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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時