18.正義の粛清を、いらっしゃいませ。 ページ19
「お前…」
国木田が雨芽に声を掛けた
雨芽はきょとんと年齢に見合う幼い表情を浮かべた
「何も、思わないのか?」
『何に対してです?』
国木田は矢張、と握った拳に更に力を込める。
握った掌に爪が食い込み、血液を垂らす
「同僚の死を…何も思わないのか?」
少し考える仕草をしたあと、雨芽はゆっくりと口を開いた
『_あの男へ正義の粛清を…。』
国木田は今にも泣き出しそうな、闇で満ちた瞳をぐっと閉じ、もう一度その少女の姿を瞳に焼き付けた
その少女がどう壊れ、闇に苛まれるのか
はたまた救われて光を見るのか
国木田にはそれが絶望であった
この目の前の少女は人を葬ろうとしている、だが止めることは出来ない
国木田は心の中の檻に囚われていた
「理想」「現実」「罪」「正義」
自分の生きる意味だったであろうものがこうも容易く自分への檻に、自分を閉じ込めてしまうものへとなろうとは思ってもいなかったのだろう
するとその様子を察したらしい雨芽が微笑みながら云った
『いつだって「罪」に粛清を与えるのは「正義」という名を持った罪です、自分達が罪だなんてことに気が付かずに正義を押し付ける。
これが世の理と言うものです、貴方が一番よく知っているのでは?
_国木田様』
雨芽は勝ち誇った様な何処か悲しげな表情を浮かべてナイフを手に持った
『今こそ、罪に正義という名の罪を与えるべきなのです』
国木田の背後でそう囁くと夜の街へと踊り出た
楽しげに、まるで友人と遊びに行く子供の様に無邪気で無慈悲な笑みを浮かべたまま走る雨芽のその小さな背中を何を言うでもなく、国木田はただ見送ることしか出来なかった
階段から駆け降りてくる仲間の声も今には耳障りに聞こえる程だった
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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時