510話【結弦side】 ページ19
昌磨に、Aちゃんと付き合ってることを伝えた。
べつに今じゃなくても良かったし、全日本のあとでも……と思ってたけど。
昌磨がAちゃんの背中を撫でているのを見てムッとした自分がいて。
悠長なこと言ってらんねーって思って、早足でAちゃんのそばに行った。
『俺、Aちゃんのこと好きかも』
昌磨からそう言われたのはいつだったっけ。
面と向かって言われたわけじゃないから、昌磨がどんな気持ちでそう言ってきたのかは分からない。
本当に好きなのかもしれないし、踏み出せないでいた俺の闘争心に火を付けるために、わざと言ったのかもしれない。
だけどAちゃんの背中を撫でる昌磨の顔を見て、言いようのない不安に駆られたんだ。
昌磨は、本気でAちゃんのことが好きなんだって。
そんな昌磨に、現実を教えてやらなくちゃと思った俺は意地悪かな。
結弦「俺、Aちゃんと付き合ってるから」
思った以上に、自分の声が強張ってるのが笑える。
どんだけ余裕ないんだよ、俺。
昌磨は一瞬、ほんの一瞬目を見開いたあと、俺とAちゃんを交互に見て、
昌磨「……そっか」
そう呟いた。
ーよかったじゃんー
お似合いだよ、そう言った昌磨の顔は寂しそうにも見えた。
そしてなにかを吹っ切るように、真剣な顔でAちゃんの名前を呼んだ。
そこまでは良かったんだけど……
昌磨「ゆづくんでいいの?後悔しない?」
昌磨のやつ、聞き捨てならねー一言を放った。
なんだよそれ。
いくら昌磨でも失礼じゃね?と思ったら。
昌磨、吹き出すとか意味分かんないんだけど。
なんなんだよ……と呆気にとられていると、Aちゃんも同じ気持ちだったのか二人で顔を見合わせた。
昌磨「さっきも言ったけど、ゆづくん超頑固だしわがままだからさ。Aちゃん振り回されないかなって思って」
「ああ……」
昌磨「まあ、ゆづくんに酷いことされたらいつでも相談にのるよ。じゃ、俺行くね」
呆気にとられてる俺らをよそに、昌磨はスタスタとその場からいなくなってしまった。
結弦「なんだよ……昌磨のやつ」
「私、ゆづくんに振り回されるのかな?」
結弦「んなことねーし。Aちゃんのことは、大切にするって誓ったでしょ?」
嬉しそうに笑うAちゃんを見て、俺も幸せな気持ちになる。
絶対、俺以外のやつになんか渡さない。
渡すもんか。
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優里奈(プロフ) - エミルさん» 嬉しいお言葉……ありがとうございます(*^^*)付き合いたてってこんな感じかなあ……?なんて考えながら二人を動かしてます(*>_<*) (2021年10月3日 6時) (レス) @page21 id: bb1624f74d (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 初々しい二人の好きが溢れていて、可愛いカップルですね!こちらも幸せな気持ちになります(*´ω`*) (2021年10月2日 23時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - らっきさん» わー!ありがとうございます(≧∇≦)らっきさんの作品も楽しく読ませて頂いてますよ〜(*´ω`*)2人がくっつくまでの前置きが長すぎましたね(^ω^;) (2021年9月24日 22時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - こんばんは!いつも読んでます(*^^*)ついに、2人のお付き合いが始まりますね!更新頑張って下さい! (2021年9月24日 21時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
優里奈(プロフ) - エミルさん» 私も書いていてドキドキしてました〜!一途なゆづくんに春よ来い!ですね( *´艸`)頑張って続き書いて行きます(p`・ω・´q) (2021年9月23日 23時) (レス) id: 59b863f10c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:優里奈 | 作成日時:2021年9月23日 22時