どんな僕も愛してよ。第5章

怪我と本心 SH ページ32

SH side



『ねぇ、ソンフナ』



…その声に少し緊張する。



悪魔と契約したあの日から頭を支配しているもの。



それは"犯罪に加担してる"という事実だ。




SH「んー？なぁに、ヌナ」




なるべくパソコンから目を離さず、普段通りを装う。




耳だけ傾ける理由…




それは今ヌナの目を見てしまったら、僕はどうすればいいのか…"目的"すら見失ってしまいそうだから。




もし全て逃げ出したら、ヌナは？




ジェイヒョンはきっとキムソヌが関わっている。




キムソヌが僕の人生をめちゃくちゃにしている。



これ以上、ヌナは巻き込みたくない。



『…ジョンウォンさん、怪我どう？』



SH「…」



…どうして、"僕"は見えないんだろう。




また"ヤンジョンウォン"。




ヌナの頭の中はキムソヌかヤンジョンウォンしかないみたいだ。




ポーカーフェイスが得意な僕でもやはり
ヤンジョンウォンの名前を聞くと少し動揺が隠せない。



"ヤンジョンウォン"…



それは、僕が犯罪者だと言われているような…
犯人だと疑われているような気分になる。




SH「えぇ〜珍しく話しかけてくれたと思ったらあいつの心配？嫌なんだけど。」




なるべく平然を装うが
僕は今、上手く演じられているだろうか。




僕でもわかる。僕らしくない話し方に
さすがのヌナでも気づいているんだろう。




少しの焦りや、様子を伺うような口調、僕の機嫌を損ねぬようあえて地雷を探しているようにも見える言葉の選択。




…自分でも驚く。




今日も僕の大切な人は




『気になる…から、』




僕じゃない誰かの話をする。

-→←-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す