【進撃の巨人】 NTEOTW KYHU season3 (ページ16)

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番外編：高熱と寂しさⅠ ページ16

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“27”で二日間高熱に苦しんだウィルを看病するリヴァイサイドの番外編です。

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845年、人類がウォール・マリアを失ったあの日＿＿＿＿

撤退命令が出て兵舎に着くと共に力なく倒れたウィルを見ても、疲弊しきった兵士達は動揺するばかりだった。

そんな兵士達を押しのけてやって来たリヴァイはすぐ様ウィルを抱き起こす。身体の熱さは増しており、先程縫合した腹部の辺りは赤黒く染まっている。

「チッ…馬鹿野郎が。」

そのまま抱え、彼女のフードを深く被せると先程から棒立ちしている兵士の野次馬を通り抜けていった。この状況では医務室に行ってもそこに医者がいるわけではないため、ウィルを医務室のベッドに寝かせて再び処置を行う。

その間も苦しそうに眉に皴を寄せるウィルの目が開くことはない。頬は赤くさせ、浅い呼吸を繰り返す。処置を済ませて、額に濡らしたタオルを乗せるとその場を去ろうとする。

が、自分の体温より随分と熱いものが掌に触れる。

「なんだ？」

掴まれた手に振り向くが、先程と同じようにウィルの目は閉じたままである。
しかし、強く握られた手を引きはがす気にはなれず、再びウィルの傍に座り直す。

すると、薄っすらと開いた目がリヴァイを捉える。

「兄さん...？」

「誰がお前の________ 」

反発しようと思うが、再び目を閉じており、その瞳からは一筋の涙が流れる。
以前にも、寝言で兄を呼んでいたことを思い出す。

その直後にウィルの兄はもう何年も前に他界していることも聞いたが、こう眠るたびに兄を呼ぶということは、その死を未だに乗り越えられていないのだろう。

反対の手で頬の涙を拭う。

リヴァイのことを兄と勘違いしているのだろうか、先程までの苦しそうな表情とは打って変わって安心したように小さな寝息を立てる。ウィルの兄も調査兵だったと聞いたが、一体どんな人物だったのだろうと思うが、リヴァイ自身もだんだんと心地よい睡魔に飲み込まれていった。

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目が覚めると、強く握られていた手はまだ熱は残っているが力が抜けており、リヴァイは起こさぬよう掛布団を首元まで掛け直して医務室を後にした。