肆 ページ5
Aside
《それから数日が経ち、伏黒は治療を受けて休息をとっていた》
《その横で唯ずっと様子を見に来ては伏黒を手伝う白蓮、忙しないのである》
《無論、伏黒は安静の為寝具の上で横になるか、座っている事しか大半できないのだ》
《白蓮が動けぬ伏黒の代理で生活の補助をしている》
恵「…ずっと俺の面倒見てていいのか、訓練は」
《伏黒も自分の面倒を見るが故に白蓮が行動出来ないのではないかと不安に思っていた》
『…いい、黒がここに居るから』
恵「なんで俺がいるからなんだよ。寮生活だし高専内に居りゃ、気にするこたねぇだろ」
『…横に居るのと離れてるのは、違う』
《花瓶の花の水を取り替えて、伏黒の寝具の横に小さな椅子を置いて座る》
恵「五条先生は」
『また任務』
恵「虎杖は」
『元気』
『明日、新しい一年生の子、来る』
恵「そう言えば言ってたな…あの人。丁度明日からは復帰出来るらしいから、俺も出向く」
『…うん』
《伏黒と白蓮の会話は何時も静寂で何とも言えぬ、惘としたものだ》
《霧や靄と例えるのが良いだろうか。何か特別な回答をお互いが欲しているわけでもなく、話す事で心の平行線を保っている》
──────────────
《翌日、都内某所に虎杖、伏黒、五条、白蓮の四人が到着。》
《迎えた新一年生は女子、釘崎野薔薇という。強気な性格で何事にも怖気づかない様子が第一印象として捉えられた。》
《そして何より、偏見の渦である》
釘(見るからに芋くさい。田舎から出てきたって言ってたけど小さい頃鼻屎食ってたタイプね)→虎杖
釘(名前だけって…私偉そうな男ってムリ)→伏黒
釘(包帯？隣の身長高いこの人も目隠してるし、親子？髪質キレ〜…都会ってすご)→白蓮
釘「はぁ…つくづく私って環境に恵まれないのね」
《理想の人、という概念が高いのか。釘崎は大きな溜息を吐いた》
〜・〜・
《虎杖、釘崎は妙に先程から何かを今か今かと待ち侘びているように落ち着きがない》
《その様子を察していたのか、五条が切り出した》
五「行くでしょ、東京観光」
虎/釘「東京！東京！東京！We love Tokyo！！」
恵「えぇ…」
《虎杖と釘崎は田舎出身である為都会には夢を抱くものだ。流行の最先端、人々の生活の中の美的センス、何もかもが輝いて見えるものである。》
『黒は、行きたい所、ある？』
恵「俺は特に…五条先生が居ると面倒だし」
『五条さん、嘘つく時、大抵口元右に吊る』
恵「あー…言えてるな」
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2020年11月22日 0時
