8 Daiki ページ8
Daiki
A「だから、ハワイに行きたかったのも知ってるし、社会人になったら、なかなか行けなくなるし。
彼女が内定出るの来年だしって色々総合すると、今、ハワイだったのは分かるんだよね」
有岡「別に、一人で行けばいいじゃん」
A「分かってるよ。
そうするしかなかった裕太くんの味方になって、自分の傷を浅くしたいだけ」
有岡「ふーん、辛いな」
A「辛い……」
・
そこから無言になってしまった。
外を見る横顔は、大人びていて、とてもキレイになっていた。
教室の窓側の一番後ろの席で、ボーッとグランドを見てた横顔とは、全然違ってて。
大切な人と、いい時間を過ごしてきたのが分かる、そんな余裕がある横顔だった。
俺とは違うし、俺とじゃそうならなかったかもな。
・
A「空港、久し振りに来たな」
飛行機が低空で飛んでるのが目に入り始めた。
有岡「ちょっと早かったな。
車寄せで待ってようと思ったけど、駐車場に停めるかな」
A「いつもどうしてるの？」
有岡「成田からLCCで行ってる人達なんだから、安く済ませたいわけじゃん。
だから、近くの無料の駐車場があるショッピングモールで待ってるように言われる」
A「そっか、どうする？
ってか、いつもお世話になってたんだね、知らなかった。
ありがとね」
有岡「いる時はね。
父ちゃんの時もあるし」
すぐに「ありがとう」を言えるのは、昔から変わってない。
有岡「久しぶりのAとのデートだから、展望デッキでも行くかな」
A「彼女に見つかる可能性はない？
キャビンアテンダントの彼女とか。ふふっ」
有岡「笑うって、いるわけないって思ってるよな」
A「いやいや、ヒモとして養われててもおかしくないかなって。
有岡、可愛いし」
有岡「残念ながら、いません。
俺の周りは、だらしない女ばっか。
ホント、最悪の人生。
じゃあ、駐車場停めるね」
返事がなかった。
窓から上空を見上げ、飛行機を見てる。
急に自分の世界に入っちゃうのも、たまにあったな。
・
A「生意気な言い方で嫌かもだけど……
なんでもいいから、目標持ってみたら。
そしたら、最悪の人生が、少し良くなると思うよ」
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
