19 ページ19
・
モコモコのスリッパを、足を上げて見せている。
A「裸足 ふふっ」
有岡「なんだよ、いいだろ。
なあ、LINE交換して！
スマホ持ってる？」
A「まあ、持ってるけど･･･」
有岡「すげー嫌そう」
A「ねえ、私の携帯の番号、どうやって知ったの？」
有岡「あれ、車のシートのとこに挟まってたやつ」
A「やっぱり、あれ見つけたんだ」
有岡「あの日、車の中でさ、おばさんの事よろしくって言われて、あやふやな返事したじゃん」
A「うん」
有岡「もう、こっちに来るって決めてたから、『分かった』って返事出来なくて。
あの時は、ごめんね。
でもね、母ちゃんと父ちゃんと、念の為兄ちゃんにもお願いしといたから」
A「えっ、貴久くんにも？
ふふっ、変なの！」
有岡「俺はさ、兄ちゃんいるから、親の事も自分一人でって事ないけど。
Aは一人っ子だし、俺と兄ちゃんも手伝えればって思ってるよ」
A「うん……ありがと」
やっぱり優しい有岡に、嬉しくて下を向いてしまった。
有岡「A……」
顔を上げると、私の顔をじーっと見ていて。
何か言いたそうだけど、言えないみたいで。
真面目な顔で、口を開けたり閉じたりしている。
有岡「ついてきちゃって、迷惑だったと思うけど、俺としては後悔したくないし、離れたくなくて。
ちゃんと仕事頑張って、Aの事、幸せにしたいから。
俺の事、好きになって欲しい」
再び受けた告白は、うちのお父さんのお陰で、もっと重いものになっていた。
しっかり地に足をつけて、頑張っていくって気持ちが見えた気がした。
A「まだ、仕事始まってないし、なんとも言えないよ」
有岡「だな。
月一くらいで、告白してくから。
早めにOKして」
A「ふふっ、それってOKしか選択肢ないじゃん」
有岡「そうだよ。
OKしか聞かない」
A「はい、とりあえずLINE交換」
有岡「おぉ、いいの？」
A「ベランダが、タバコの臭いになったら、嫌だから」
上着のポケットからスマホを出し、LINEを交換した。
有岡「ありがと」
A「うん。
ねえ、明日から頑張れるように握手して」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月27日 23時
