18 ベランダ ページ18
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お風呂から出て、ドライヤーをしてから、有岡の事が気になってベランダに出た。
右を向く癖じゃなくて、今は故意に右を見た。
相変わらず何も見えないし、明かりが漏れてるかも分からなかった。
だけど、一つだけベランダにいるのが分かる事があった。
有岡「A……」
急に呼ばれても、ビックリしない。
タバコの臭いがしてたから。
A「ごめん、タバコ、消して。
髪の毛に臭いがつくの、やなの。
今、髪洗ったばっかだし」
有岡「おぉ、わりい」
姿が見えなくても、慌てて消してるのが想像出来た。
有岡「タバコ、辞めようかな」
A「すぐに辞められないでしょ?」
有岡「すぐには無理かもだけど、タバコを吸う理由がなくなったし」
A「え、何?
美味しいから吸ってたんじゃないの?」
有岡「ベランダに出る理由?
タバコ吸ってたら、ベランダにずっといてもおかしくねえだろ」
A「ん?」
有岡「ん?じゃねえし。
連絡先も教えてもらえないから、会いたい時はベランダにいた」
A「嘘……女の子とイチャイチャしてた事もあったよ」
有岡「んー、あれは、仕方ないって言うか。
おじさんにあんな風に言われると、やっぱショックだな」
A「本当の事でしょ」
有岡「まあ」
A「ホントはね、今日、うちのソファーベッドで寝る?って言おうと思ったの。
でも、やっぱり駄目だなって思って」
有岡「うん。
ちゃんと、俺はこっちで寝る」
A「でもね、床冷たいから、段ボールあげるよ。
こっちは、やっぱり寒いもん。
行っていい?」
有岡「うん、わりいな」
A「うん」
部屋に入って、窓を閉めた。
まだ開けてなかった段ボールを、大急ぎで解体して。
上着を羽織って、うちを出た。
チャイムを鳴らすとすぐに有岡は出てきた。
人目が気になって、玄関の中に入りドアを閉めた。
A「はい、これ。
有岡の身長なら、これくらいかなって」
有岡「なんだよ、裕太くんの身長なら、もう一つ必要とか言いたいわけ?」
A「言ってないでしょ?!
お風呂、出たんだ」
髪の毛の感じで、そう思った。
有岡「うん。
あっ、スリッパ買っておいて正解!」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月27日 23時