第三十九章 ページ8
「土方さんは不器用だねぇ」
「何言ってやがる」
夕方、土方さんの部屋にお邪魔して、朝の事を思い出してクスクスと小さく笑いながら言葉を発する
「だって、千鶴に息抜きさせる為にわざわざ左之さんの巡察に同行させるなんてさ。池田屋の時の事、評価してるんでしょ？素直に言えばいいのに」
「....はぁ。てめぇは本当何でも知ってやがるな」
「まぁ、未来から来たからそりゃ先の事は知ってるけど」
「俺の事も良く知ってんじゃねぇか」
「そうか？そんな事ないよ」
「いや、俺とお前は考え方が似てる」
「...そう言ってもらえるなんて、光栄だな」
二人して静かに会話をしながら、私は夕日に染まった障子を見つめる
こういう細かい気遣いが出来る土方さんは、凄いと思うけどちょっと不器用だと感じるも、そこがまた可愛らしく思えてしまう
「桐生。何で総司を助けた？お前の行動で歴史が変わっちまうかもしれねぇってのに」
「....助けたかったから。ただそれだけ。その時歴史の事なんてこれっぽっちも頭になかった。でも、今になって正しかったのかって考えるようになった。そんな事考えるくらいなら、最初から傍観者を決め込んでればいいのにね...」
土方さんの質問に正直に答えながら、私は小さく苦笑を漏らす
あの時は本当に助かる事しか頭になかった
歴史なんて、どっかにいってた
私の行動は正しかったんだろうか
いや、間違ってた
歴史を変えてしまうかもしれない行動は、全て間違いだ
「正しい、正しくないってだけの話なら、正しくねぇだろうな。その行動でお前が気にしている歴史を変えたことになるんならな。歴史を変える事は確かに良くねぇのかもしれねぇ。けどな、てめぇがした行動を全て否定するもんじゃねぇ。てめぇがてめぇで考え動いた事に、意味があんだろうが。お前が俺達に関わってる時点で、歴史は少なからず変わってると見るのが妥当だ。最小限の影響程度ならやりたいようにやりゃあいいだけだ。今更だろ」
「.....やりたいようにって...サラッと言ってくれるねぇ」
彼の言葉を聞いて、苦笑いし肩をすくめる
臆さず出来てたら、今頃こんなに思い悩んで苦労してないんだけどなぁ
日常生活ではやりたいようにやってるけど、歴史に変わる事については出来ない
怖いから
真っ直ぐな言葉に土方さんらしいと思った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (
レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが？ (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月17日 11時
