浮かない少年 ページ3
シャトーの機嫌はますます悪くなった
「何時からいないと気づいた」
「に、20分程前です」
「何故、もっと早く言いに来ない」
「あ、あの、柳様が言い渋っておられました！」
ッチと舌打ちをする
柳とは今回の雇い主だ
これだから、大人にはまともなヤツがいねぇと
シャトーは口を悪くした
新入りからナイフを離すと、彼はその場にへたりこんだ
そして、新入りにこう浴びせた
「いいか、これは執行猶予だ
私が帰ってくるまでに答えをだせ」
そう言うと、次は全体を見て指示した
「私が探しに行ってくる
夜までに警備の配置位置や建物内を確認しとくように
副隊長はレーゲン准将に任せる」
「ハイッ！分かりました」
「よし、いい返事だ
何かあったら無線で連絡するので気に留めておくこと
解散っ！！」
掛け声と同時に部下が部屋を出ていく
残るはこの会場の役員とシャトーだけになった
「で、誰が行方不明になった」
「月永レオ様です、今回の主役の1人でございます」
資料の参加者一覧に目を通す
備考の欄には『難癖あり』と表記されていた
「作曲家、ねぇ」
「はい、今回の演奏曲は全て彼の作品となっております」
「練習が出来ない、と言うことでは無さそうだね」
「はい、楽譜等は参加者の皆様に配られ今も調整等に入られております
ただ…………」
「彼の夜の席が今回の重鎮さんの隣とかでしょ？
で、本人は不服で逃走、と」
「はい、その通りでございます
連絡手段を置き去りにしていますので手掛かりがない状態となっております」
シャトーは少しの間無言になった
「ふーん……そうか……うん……」
何やらぶつぶつと呟き出した
「よし、わかった
彼を連れて夜までには戻るよ」
「はい、出来れば開始一時間前には宜しくお願いします」
「おーけ、おーけ、貴方はもう戻っていいよ」
役員は失礼いたしましたと部屋を去っていった
「さて、と」
彼女はスーツを脱ぎ、持ってきていた私服に着替えた
そして、無線を片耳にかけ部屋を出た
向かったのはここから少し離れた所にある噴水公園
オレンジ色の髪にスーツを着た少年は
浮かない顔で風景を見ていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅妖 | 作成日時：2017年5月28日 14時
