出演者の脱走 ページ2
P.M.7:30 出演者の1人が脱走
ふぁーと欠伸を零す
フランス時刻で7:30前、1人の傭兵が眠そうにしていた
「隊長大丈夫ですか？仮眠でも取りますか？」
大柄な男が欠伸をした少女に話しかけた
「んー……大丈夫……
慣れてるし、一徹ぐらい平気……」
と言いながらもまた欠伸を零した
隊長と呼ばれた少女、シャトーは眠気覚ましにと思い、背伸びをした
多少はマシになったようだ
「それにしても、総長は酷いですよね
連続で仕事を入れてくるなんて」
と、1人の若い男が言った
仕事は組織を司る1人の長によって割り振られる
そして、シャトーは昨日……
いや、さっきまで前の案件で抜けていた
今日の仕事の内容も先程知らされたところだ
シャトーはさっきの発言で一瞬で新入りと分かった
そして、周りはシャトーが不機嫌になったのが分かった
新入りは悪意があって言った訳ではないが
シャトーは『自分を測られる』ことと『総長を悪く言われる』ことが嫌いだった
「ふーん、ねぇ新入りくん……
―――――――君もうこの仕事辞めたら？」
異様に冷めた視線が新入りを射抜く
新入りは驚いたように反論した
「な、何故ですか？！！
自分はまだ何も失敗していません！！」
その言葉が更にシャトーをイラつかせたのか
シャトーは素早く新入りの前に移動し、ナイフを首元に当てる
「ﾋｯ……」
「うん、君には才能がない
私の殺気にも気付かず、上司のことを敬えないなんて…………
―――――笑えない程、生温いよ」
彼は目だけを動かし、周りに助けを求めているが誰も助けない
周りは皆、今の隊長に近づくとナイフで刺されることが分かっているからだ
「周りに助けを求めても無駄だよ、腰抜け新入りくん
これは君の問題だ、人を巻き込んじゃダメだよ」
音も無く、血が滴る
ナイフが鈍く光を反射する
「さあ、餓鬼
君が次にとるべき行動は何かな？
本番まで時間あるし、ゆっくりゆっくり出血でもさせてや」
シャトーの言葉が物音で遮られた
物音がした方を見ると、スーツを着た男性職員が慌てていた
「何？今はブリーフィングしてだけど」
「し、出演者の1人が行方不明に成りました！！」
「―――はぁ？？」
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作者名：紅妖 | 作成日時：2017年5月28日 14時
