松野チョロ松がドルオタになった理由。 (ページ10)

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８話。ページ10

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それから、数年経った。

もう僕は立派なニート。

兄弟揃ってニートとか、きっと今の姿をAが見たら、呆れられるよね。

なんて、どこにいるかもわからないのに。

好きでもないやつの所にわざわざ来るわけない。

だけど、今でも馬鹿みたいに、もしかしたらAが来るかもしれないという希望を持ってにゃーちゃんのライブに行ってる。

そして、今でもAのおかげで変わった性格は同じのまま。

あの頃のようにヤンチャをする元気もない。

早く、Aのことは諦めて自立したいのに、僕の脳内は高校から変わらない。

兄弟も性格は変わってない。

新品ヒーローとか、銭湯でクイズをしたりしてさ、もう少しは大人になってほしいよ。

しかし、恋愛感情ができた兄弟もいた。

その名は十四松。

好きな子がいるということを知った時は驚いた。

1番恋愛には程遠いと言っても過言じゃないのに。

しかも、十四松はありのままの姿を彼女に見せていた。

僕みたいに自分を変えてまで愛してもらおうとしてない。本当の自分を見てもらってる。

まあ多少は人間っぽくなってたけど、鼻から水だしたりさ、普通引かれるようなことをしてた。

そのことに気づくとなんだか自分が情けなく感じた。

本当は二人の姿を尾行するのも辛かった。「帰ろう」と言っても誰も聞いてくれないし。

自分と十四松を重ねて見ると苦しかった。思い出すのも辛かった。

そして、彼女は田舎に帰ることになったらしい。

十四松はいいなぁ。別れを言えて、自分の気持ちも言えて。

ただ言うだけなのに、こんなにもできない。

さて、今日もライブに行くか。