42 苦手 ページ42
どうしよう、どうしようと
屋上に繋がる階段でうずくまること数十分。
さっきの宮くんの顔が頭から離れず、
後悔するばかりだった。
｢(馬鹿だ私…子どもじゃないんだから…)｣
机を蹴って、怒鳴って。
その程度の事でビビった私。
助けてくれた宮くんを拒否してしまった私。
まるで小さな子どものような自分が情けなかった。
｢(謝りたい…きっと誤解を生んじゃった)｣
このままじゃ嫌。このままだと、気まづいままだ。
そう思い、立ち上がった時だった。
｢…やっぱりここに居ったんか｣
息を切らして、少し髪の乱れた宮くんが
私のいるところまで階段を登ってきた。
｢っ！？｣
｢待って｣
驚いてしまった私は条件反射で
屋上の扉に手をかけると
後ろから宮くんに腕を掴まれてしまい、
そこで、もう逃げられないと確信した。
｢…ごめんね…｣
｢それは何に対して謝ってんの？｣
｢……｣
｢俺があいつらに怒ったこと？迷惑やった？｣
｢…違う、違うの…私が、悪くて｣
緊張、焦り、恐怖、不安。
どれも最悪な感情がゴチャゴチャになったような、
胸の当たりが締め付けられるような感覚に
うまく言葉が出てこない。
体が、指先が、声が震える。
｢ごめんね…私…いま、上手く言えな…いの…っ｣
ああ、そうか。嫌われたくないんだ。
いつの間にか好きになってしまった彼に
嫌われまいと必死なんだと、
流れる涙を手で拭いながら思った。
謝りたいのは事実、彼が怖かったのも事実。
でも、1番は彼にあんな顔をさせてしまった
嫌われても当然のようなことをしてしまった私自身が1番悪い。
助けてくれたのに、気遣ってくれたのに。
｢…わっ、私…っばかだから…あんなっ…こと｣
｢ごめ…っう、ごめんなさっ…｣
お願い、止まって涙。
こんなんじゃ、宮くんも困っちゃうよ。
｢…そっか｣
その一言と共に掴まれていた手がゆっくりと離れていくと
宮くんはゆっくりと階段を降りていった。
ああ、やってしまった。呆れられちゃったかな。
心の辺りにぽっかりと穴が空いたような感覚。
完全に、彼の気配が消えてしまった。
｢ぅ…ぅう''…っ｣
ああ、本当、私って馬鹿だな。
腕には彼の手の感触が残っていて、
とても熱くて、悲しい気持ちになった。
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
