罪で結ぶ絆 2

しゃぼん玉 ページ12

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　遠くから、私のことをじっと見つめて
いる姉妹。笑いかけると、はにかむよう
な表情をして走り去って行った。



「ふふ、あんな子供にもモテるのね」

「ふはっ、何それ」



屈託なく笑うひろ。



「シャボン玉で遊んであげてたのね」

「あぁ、懐かしいなぁって。小さい頃や
　った記憶があるよ」

「私も」



ひろは、懐かしそうに目を細めた。






「玲さん、腹減らない？」

「えっ？今何時？」

「もう１２時過ぎてるって」

「わっ、本当だ！起こしてくれれば良か
　ったのに」

「気持ちよさそうに寝てたからさ」

「ありがとう、寝不足だったからかな」



　昨日は詩乃ママと、店が終わってから
遅くまで話し込んでしまい、帰宅が遅く
なってしまった。

　今朝は、お弁当を作りたかったから早
起きをしたんだ。正味三時間ほどしか寝
ていないけれど、ヒヨリが死んでからは
あまり深く眠れなくなっていた。






「ねえ、これ全部玲さんが作ったの？」



　目の前に広げたお花見弁当を、目を丸
くして見つめている。






「そうだよ」

「料理するんだ」

「えっ？あ……うん」




料理は得意だった。

　高校になってからは、親戚の家での朝
食作りとお弁当作りは私の仕事だったか
ら。


「料理すると思わなかったから」

「え？」

「だってさ、爪とか……」



そう言い、私の爪に視線を落とす。


　私はホステスだったから、ネイルサロ
ンにも通っていたし、肌や身体の隅々ま
で気を配っていた。

　ひろは変に思っていないだろうか？ネ
イルなんて今どき誰でもしているけれど
見られていたことへの緊張が走った。




「ネイルしててもできるもの、それより
　食べよ！お腹空いたぁ」


　お弁当の中身は、ハンバーグに唐揚げ
卵焼き、野菜の肉巻き。そして梅と鮭の
おにぎり。



「すげー」

「え？普通の中身だよ」

「いや、弁当って、母親意外に作っても
　らったことないから……嬉しいよ」

「どうぞ」




　ひろにお箸を渡すと、卵焼きを頬張り
にっこりと笑う。いかにも嬉しそうに。



　そういえば、ヒヨリは必ず卵焼きから
食べたっけ……


私の中を、風のように空虚が吹き抜けて
いった。




「めっちゃ旨いんだけど」

「本当？嬉しいな」

「もっと食っていい？」

「うん、たくさん食べて」






「玲さん、ありがとね」





ひろの笑顔がスローモーションに見え






風が吹き――


桜の花弁がおにぎりの上に舞い落ちた。







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