罪で結ぶ絆 2

甘い香り ki ページ37

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「ひろ、私……昨日はびっくりしちゃっ
て。あのお客さんと地下に行ったきり戻
ってこないし……あれから、裕太の様子
もおかしかったから……」

「あ……悪かったわ……」

「ううん」



そうだよな……、俺のあんな姿を目の前
で見たらそりゃドン引きするよな。言葉
を選ぶようにゆっくりと話す玲さんが、
俺に気を遣っているのがわかる。

いっその事、俺に愛想を尽かして、俺の
彼女になりたいなんていう、バカな考え
が消えていればいいと思った。

玲さんは俺には眩しすぎるんだ。




「ひろ、顔色悪いよ」

「そう？」

「ねえっ、凄く熱いっ！？熱あるんじゃ
ない？」


心配そうに眉根を寄せてそう言い、俺の
額に手を当てたその手を、思わず振り払
っていた。

玲さんが驚いたように目を見開く。



「ひろ……」

「……ごめんっ、俺は大丈夫だから……」




昨日のあの客にされた行為が頭を過ぎり
酸っぱいものが込み上げてくる。

俺は汚れすぎていて、俺と一緒になんて
いたら、綺麗な玲さんまでが汚れてしま
うから。

自分が酷く汚い物のように思え、玲さん
から一歩後ずさった。



「ひろ……何か食べたの？」

「いや、食ってないけど」

「何か食べられそうな物買ってくるね」

「いいって、腹減ってない」



俺の返事も聞かずに、玲さんは踵を返す
と階段を足早に降りて行ってしまった。

トントントンと、急くように聞こえる足
音を聞きながら、俺は立っていられなく
て、思わずその場に座り込んだ。

とりあえず店に電話しないと……

幸い廉が電話に出たから、体調不良で今
日は休むと伝えた。


鼠径部に腫れを感じ、押すと痛みがある。
リンパ節が腫れているんだと思った。





*





「ひろ、立てる？」


朦朧とする意識の中、甘い香りがして、
俺を引っ張る腕を思わず掴んだ。

いつ帰ってきたのか？いつの間にか玲さ
んが部屋の中にいて、俺を立ち上がらせ
ようとしていた。



「ほっておけって……」

「そんなわけにいかないよっ、ひろをほ
っておくなんて出来ない……」




「見ただろ？……昨日……」

「……」




「俺さ……男も女も両方いけるって言っ
たでしょ？……あんな異常な性癖の中年
のおっさんとも寝てんだよ……前も言っ
たけど……俺みたいなのに関わったら、
……絶対に後悔する」



玲さんは、俺の話がまるで聞こえてなど
いないかのように無言で俺を立たせると
腕を自分の肩にかけ、引きずるようにし
て歩き出した。







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