罪で結ぶ絆 2

深く秘めた ki ページ23

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「俺は大丈夫だよ。玉、おまえこそ大丈
夫だった？何でこんなことしたの？
…………俺のため？」


玉は、小さく頷いた。


「あの客、ミツは……いつも喜んでケツ
を差し出すなんて言いやがって……俺、
許せなくてっ……ミツが俺の代わりにな
ってくれてんのわかるから……もう耐え
られなかったんだ」

「玉ちゃん……」

「だから俺っ」

「うん」

「だけどっ、ナイフ見たらやっぱり出来
なくて……また頭が真っ白になって」


玉は顔を歪めて頭を掻きむしった。



「うん」

「やられそうになった時、あいつからナ
イフを奪ってた。ねえ、俺のせいで余計
酷いことされたんじゃない？……俺、ほ
んと弱くって…………ごめん」


「そんなことないよ、トラウマあんのに
行動してくれた玉は強いよ。そんな玉ち
ゃんの気持ちだけでまた頑張れるわ」

「気持ちだけじゃ守れないよっ！俺、今
度ミツのこと傷つけたらあいつのことぶ
っ殺してやる」




そう言い、思い詰めたように唇を噛み締
めた玉。いつもの柔らかい眼差しは冷た
く、握った手が震えていた。


そんな玉を危ういと思う。


玉が、何をするかわからない危うさを秘
めていることは薄々気づいていた。


それにオーナー……


六本木という街は、実は歌舞伎町なんか
よりずっとヤクザが多い街だと思ってい
る。

黒川さんがそういう裏社会の連中と深い
繋がりがあることは知っていたから、彼
を怒らせると面倒なことになりかねない。


黒川さんは、基本的には人情に厚い人間
だが、長年彼の下で働いてきた俺は、普
段の彼の親しみやすさの裏にある怖さや
冷たさも、ある程度は知っているつもり
だった。




「玉ちゃん、お客様に手を出したらこっ
ちの負けだから。どうやったって玉が悪
いことになるんだぜ？」

「それでもいいっ」

「ダメだって」




「ミツ……」




玉の手が伸びてきて、俺の髪を優しく撫
でた。




「うん？」

「俺のこと、もっと頼ってよ……」

「ああ、ありがとね」




「俺には、わかるよ？」

「え？」




「ミツが苦しんでるの。ミツは……、
一体何を背負ってるの？」





俺が十二年もの間、自分だけの秘密とし
て抱え込んできたものを、今ここで玉に
打ち明けたら少しは楽になるだろうか？

湖の底のように、深く澄んだ瞳をじっと
見つめた。


すると、ふと怖くなる。


俺を兄のように慕ってくれている玉に軽
蔑されたら……



こんなに汚れ切った俺をどう思うだろう








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