真意 ki ページ43
・
高校になると、病気の母親を抱えなが
ら出来る仕事は何でもやった。
丁度オーナーに出会った頃だ。
とにかく金が必要だった。母親に新しい
治療をしてもらいたかったから。
金を払えば助かるかもしれないのに、払
えないことで命を落とすなんて、そんな
惨めな思いを母親にさせたくなかったし
これ以上大切な人を喪いたくなかった。
この飽食な時代にと思うかもしれない。
けれど、そうするしか生きていくことが
出来ない人間もいる。
俺みたいな奴がね……。
”連絡くれて嬉しいよ。君には僕の下で
働いてもらいたいんだ。君みたいな逸
材なかなかいないからね。上客ばかり
だから心配いらないよ”
オーナーの黒川さんには世話になった。
入院費や治療費だけではなく、母親の
葬式代も立て替えてもらった。
だから俺はあの人に頭が上がらない。
あの人が善人か悪人かなんてことは、俺
にとってはどうでも良いことだった。
あんな奴らの相手をするのは嫌だった
けれど、汚れている俺には丁度いい仕事
だと、ずっと思ってやってきたんだ。
けれど、玲さんは……？
俺の隣で、ショーウィンドゥを見なが
ら歩いている彼女をちらりと見た。
彼女は、俺を欲望のはけ口にしている
奴らとは何かが違う。
バーに呑みに来ても、いつも静かにバ
ーテンダーと話ながら酒を呑んで割とす
ぐに帰ってしまう。
裏の顔を知らず、表向きの『ルキア』
に酒を呑みに来ている女性客の中には俺
に色目を使ってくる女も沢山いた。
露出の高い服で誘って来たり、さりげ
なくボディタッチをしてくる女。
そんな女とも違っていた。
彼女を始めて抱いた夜、零した涙のわ
けは何だったんだろう？
「ひろ、ここの店見てもいい？」
「もちろん」
「私、雑貨屋さん巡りが大好きなの」
「へぇー、そうなの？俺にはわかんねー
世界だわ」
綺麗なデザインの手帳を手にしては、
どれにしようかな……なんて呟いている
結局、玲さんは革製のブックカバーと手
帳を買った。
「今年はまだ手帳買ってなかったから嬉
しい！」
「いつもそれで管理してんの？」
「紙が一番便利よ」
「ふーん」
「私は本も好きだから、ブックカバーも
いつも愛用してるの。ひろは本好き？」
「本？俺は金がなかったから図書館の常
連だったよ」
「私も図書館大好き」
俺が答えると、玲さんは嬉しそうに微
笑んだ。
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´･ｪ･`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです！！ (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください！ (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2018年8月17日 12時
