罪で結ぶ絆

守りたい　ki ページ38

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会費が非常に高額ということもあったが
ここの顧客は、本当の意味でいう金持ち
であり、社会的にも地位の高い人間ばか
りだった。


金も名誉も手に入れた人間や、毎日退屈
している上流階級の主婦が、疑似恋愛や
刺激を求めてやって来るんだ。

ある意味での客層はいいが、男娼を買い
俺達を好きに弄ぶ男達……。

つまり、ボーイズクラブの会員になる連
中は、どこか病んでいる人間が多いとい
うわけ。




そんな中で、時々、玉から人を寄せ付け
ないような冷たさを感じることがあり、
それが時には危ういと思う……。

玉も俺と同じ。過去に辛い体験をしてい
たから、人を信じきれないところがある
のかもしれない。


だからこそ、玉を守りたいって思う。


そして、俺のそんな気持ちと同じように
玉も俺を守りたいって思ってくれている
ことが、俺には痛いほどわかっていた。


でもさ、玉……俺は、そんな善良なおま
えにそんなふうに思って貰えるほど立派
な人間じゃないんだよ。

今ここで懺悔出来たらどんなに楽になる
だろう……

すべてこいつに打ち明けられたら……

いつの間にか部屋に入っていた玉を、呆
けたように見ていたらしい。



「ミツ？大丈夫？」

「あ……ごめん、ちょっとボーっとして
たわ」


玉に話しかけられ我に返った。






「ミツ……酷いじゃん……」


玉の掌が、俺の背中にそっと触れた。


「少し消毒薬がしみるかも」

「大丈夫だよ、ありがとね」

「うん……」



消毒薬は傷にしみたけれど、何よりも玉
の気持ちが嬉しかった。

俺の肩甲骨から背骨にかけて、玉の掌が
そっと触れる。


「ミツの十字架……凄く痛そうだよ。苦
しそう……」

「もう痛くなんてないよ」

「そっか……でも、とっても綺麗……」

「ありがとね……」



「ねぇ、ミツ……ヒヨリ見つからないね」


玉がぽつりと呟いた。


「そうだな……」

「会いたいね」

「あぁ……」



ヒヨリが俺達の前から突然姿を消してか
ら、俺達は彼女を探しまくった。

オーナーに訊いても個人情報だからと言
われ、住所も連絡先も教えてもらえなか
った。

どうして訊いておかなかったのかが悔や
まれたが、三人で撮った写真だけを頼り
に、それを持って六本木のバーや、クラ
ブを尋ね歩いた。



ヒヨリから、店に俺宛の郵便物が送られ
てきたのは、彼女がいなくなってから一
週間が過ぎた頃……。


中に入っていた物は、俺が彼女にあげた
ペアのネックレスだった。





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