生きる意味 ki ページ32
・
その時だ。
”君、何しているの？”
声のする方を見ると、２０代後半から３０代前半くらいの一人の男が俺をじっと見つめている。
”別に何も……”
男は、俺の足元に転がる干からびたトカゲに視線を落とした。
”トカゲの死体か”
”……”
”君は何歳？”
”……十六”
”十六か……。可愛い顔してるね”
は？可愛いってっ――
彼は、俺の身体をじろじろと上から下まで舐めるように見つめた。
俺が今、何をしてきたのか知っているんじゃ……？
嫌な汗が背中を伝い、俺は無意識にポケットの中にある一万円札を握りしめた。
”俺、もう行きます”
男の視線に耐えられなくなり、軽くお辞儀をして立ち去ろうとした時、急に腕を掴まれた。
ギョッとして彼の顔を凝視する。
”何ですかっ？”
”君、高校生？”
男は首を少し傾げ、覗き込むように俺を見つめてくる。
”……そうだけど”
”高校生がこんなホテル街にねぇ？”
”……っ”
”悪い子だね。君”
何が可笑しいのか、男はくつくつと笑っている。
は？俺に構わないでほしいんだけど。
”高校は……もう辞めるつもりだし”
”辞めるの？”
”行く意味が見つからないんですよ”
”どうして？”
”どうしてって……”
そんなのあんたに関係ねぇーし。
そう言おうと思った時だった。
”身体売らないといけないほど金に困ってるから？働くつもり？”
”――……っ！”
男の眸が緩く孤を描いた。
”君にやる気があるなら、僕のところに来ない？”
”は？”
彼は俺に一枚の名刺を差し出した。
『エスト企画 黒川 響』
それにはそう書かれていた。
”僕ね、都内でサービス業を手広くやってるんだよ。お金に困ったらいつでも連絡していいよ”
”……”
”それと、高校は卒業した方がいい。僕の所に来れば力になれると思う。話聞くからさ”
彼はそう言い唇の端に笑みを浮かべた。
それが――……
ルキアのオーナーと俺の出会いだった。
俺は母親が好きだったが恨んでもいた。
過去に、彼女が何をしていたか……
俺にはわかっていたからだ。
蝉の声が耳の奥で谺する。
くらくらする頭を押え、俺は目を細めて強烈な陽光で眩しく照り返す真っ白い名刺を見つめた。
俺が生きている意味はなんだ……？
やるせない想いと、目を背けたくなるような現実が目の前にあった。
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´･ｪ･`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです！！ (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください！ (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2018年8月17日 12時
