罪で結ぶ絆

笑顔 　　　★ ページ23

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ヒヨリの事だと思った……




　ヒヨリは父親、私は母親似で、私たち
は昔から似てない姉妹と言われていた。

けれど背格好が似ていて、やっぱり姉妹
だなぁって思うことが度々あった。

自分ではよくわからないけれど、きっと
笑顔はヒヨリの方が可愛い。私は上手に
笑えないから。

詩乃ママは、私のことを儚いって言って
くれるけれど、それはきっと、私の過去
が笑顔に影を纏わせているからだ……。



”Aちゃん、ありがとう！”


誕生日プレゼントを開けた時の、あの子
のキラキラとした笑顔が脳裏に浮かび、
ぎゅっと胸が締め付けられた。







「玲さん？どうしたの？」


　無意識に、強く抱きついていたみたい
で、驚いた顔の裕太が私を見ている。


「あ……何でもないよ……ねぇ、その子
　はどんな子なの？」

「凄く可愛い子」


そう言ってから、俺って語彙力ないよね
？ってふにゃんと笑った。



「今、その子は？」

「ん？あぁ……、いなくなっちゃったん
　だよ……突然」

「いなくなっちゃったの？」

「うん……今……何してんだろ」


裕太はそれだけ言うと、天井をじっと見
つめた。





いなくなっちゃったんだよ……か。

ヒヨリに違いない。
私の想像は確信へと変わった。


ドクドクと心臓が鼓動を早め、彼が何を
知っているのか訊いてしまいたくなる。

でも――

裕太に、私がヒヨリの姉だという事を知
られるわけにはいかない。今は、ヒヨリ
の相手に伝わってしまうかもしれないよ
うな、危険な行動は取りたくなかった。







「玲さん」

「ん？」

「玲さんの身体、温かいね。柔らかいし
　気持ちいい」


　そう言い、私をぎゅっと抱き寄せると
耳に唇を付けた。


「ふふ、どうしたの？」

「だって玲さんが気持ちいから」

「擽ったいって」


裕太が喋ると擽ったくて、私は思わず身
を捩った。



「玲さん」

「なぁに？」


次の瞬間、ぐるりと視界が変わり、裕太
に組み敷かれていた。





「ちょっ、裕太？」

「俺……っ」



切なげに揺れる瞳から目が離せない……

裕太の唇が私の首筋に吸い付き、柔らか
く這い始めた。



「んっ、ダメっ」


押し返そうとした腕を掴まれ、頭の上で
拘束される。



「玲さん……」

「やぁっ、ん……」



突然唇を塞がれ、彼の温かくて柔らかい
舌が歯列を割って入ってきた。





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