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BAR LUKIA 1 ページ12









 その店は、六本木や西麻布の喧騒から
少し離れた星条旗通りの、また一本中に
入ったとても静かな場所にあった。

この辺りは、隠れ家的な店が点在するエ
リアだ。







「ここ……?」




 私は店の前に立ち、蔦が這うコンクリ
ートの打ちっぱなしの建物を見上げた。

 スポットライトが照らし出す黒い扉に
は、小さく『RUKIA』とだけ書かれ
何の店かはわからない。

 詩乃ママは表向きは普通のバーと言っ
ていたけれど、看板ひとつ出ていない為
もしかして会員制なのでは?……と不安
になったが、扉を開けると、居心地の良
さそうな空間が広がっていた。


一枚板の重厚なカウンターとボトルが並
ぶバックバーには、ユニークなデザイン
のボトルなどを織り交ぜて、客の目を楽
しませる工夫がされており

 テーブル席には、趣味の良い、ヴィン
テージ感漂う革張りのソファや椅子が配
置されている。


 シェーカーが振られたり、グラスが触
れあったりする音に混じり、静かに物憂
いジャスが流れていた。





「いらっしゃいませ」



 店内を見回していると、カウンターの
中にいた若い店員がやってきた。



「おひとりですか?」

「はい」

「こちらへどうぞ」



 少し幼さの残る長身な彼は、私を見つ
め可愛らしいたれ目でふにゃんと笑うと
カウンターに案内してくれた。

 まだ開店して間もない為か、店内の客
は疎らだ。カウンターには裕福そうな年
配の女性が一人、ソファ席では上質なス
ーツを身に纏った男性が三人で静かにお
酒を飲んでいる。

 仕事柄、彼らか上流階級の人間である
ことは直ぐにわかった。








「どうぞ」

「ありがとう」


 ドリンクメニューを渡し、彼がそっと
カウンターに置いたコースターには

黒に白抜きの『BAR RUKIA』の
文字と、ショートカクテルが描かれてい
た。




「……!」



それは紛れもなく――……

ヒヨリの部屋で見た物と同じだった。





私はそのコースターをじっと見つめた。

この店に間違いない……!

背筋に緊張が走り、鼓動が早鐘を打ち出
す。




「……なさいますか?」

「……」




「あの?何になさいますか?」



さっきから声をかけられていたようだ。



「え?あ……ごめんなさい、ウォッカソ
 ニックをお願いします」

「はい、かしこまりました」



 待っている間、周りを見回してみると
さっきの彼を含めカウンターの中にはバ
ーテンダーが二名。








BAR LUKIA 2→←―201×年 現在―



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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´・ェ・`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです!! (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください! (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2018年8月17日 12時

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