罪で結ぶ絆

―201×年 現在― ページ11

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――201×年 現在――


　あの手紙を見つけてから約半年後、私
は再び『ＮＯＢＬＥ』で働きだした。




　私のことをとても心配してくれていた
詩乃ママには、休んでいる間連絡もせず
に本当に申し訳ない事をしたと思ってい
る。


「玲ちゃん、おかえりなさい」


　けれどママは、ひょっこり現れた私に
優しい言葉をかけてくれた。

　私のことをそっとしておいてくれたば
かりか、また働ける環境を用意してくれ
たママの温かさに、堪えていた涙が溢れ
出し、私は彼女に抱き着いて泣いてしま
ったほどだった。









　知りたい反面、怖くてなかなか踏み出
せないでいた破られたノートの１頁。


　常に頭から離れなかったあの手紙につ
いて、やっと調べようという気持ちにな
れたのは、その紙を見つけてから半年経
ってからだった。







　ネットで店名を検索してみると、都内
に数件の”ルキア”というバーがヒット
した。




え……？

六本木にもあるの……？




六本木には長くいるが、その店名は聞い
たことがなかった。

もしかしたら、詩乃ママなら知っている
かもしれない……。




「詩乃ママ、六本木の”ルキア”という
　バーは知ってますか？」

「ルキア？」

「はい」


私が訊くと、ママの瞳が僅かに揺れた。


「噂だったら聞いたことがあるけど……」


――……噂？


「あの、教えてほしいんです……」

「でもどうしてそんなことが知りたいの
　？」

「それは……」


　もう、ママには全て話そうと思った。
私は、一年前に亡くなったヒヨリが妊娠
していたこと、そして”ルキア”のコー
スターを持っていたことを話した。




「そうだったのね」

「私……妹に何があったのかどうしても
　知りたいんです」

「あそこは、表向きは普通のバーだけど
　裏では……会員制のボーイズクラブを
　やっているっていう噂よ」

「会員制のボーイズクラブですか……」

「ごめんなさい、詳しくはわからないの」



　六本木界隈に詳しいママでも、星の数
ほどあるバーの内情までは全て把握でき
るはずもない。







行ってみよう……




　仕事が休みの土曜日の夜、ホームには
滑り込んできた電車と共に冷たい風がふ
わりと舞った。


　六本木の駅を降り地上に出ると、見上
げる空に浮かぶ秋の月が―――


とても静かに澄んで見えた。









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