検索窓
今日:3 hit、昨日:21 hit、合計:379,392 hit

BAR LUKIA 6 ページ17










 それからというもの、私はクラブがお
休みの週末と有給を使いこの店に通い続
けた。



二週間ほど経つと、店員は皆私の顔と名
前を覚えてくれるようになり、特に北山
さんと玉森さんとは、二ヶ月後には気楽
に冗談を言い合える仲になっていた。


 すでに『RUKIA』の常連である石
井さんともっと仲良くなれたら……

ボーイズクラブの事を訊きだす事ができ
るかもしれない……と思った。




 ホステスとしてのスキルを最大限に使
い、お酒を飲みながら彼女の悩みなどを
聞いてあげているうちに、私たちは徐々
に親しくなっていった。









「えっ?会員になりたいの?」



石井さんは声を潜めた。


「玲ちゃん、どこでそれを?」

「あ……どこだったかな、噂です」

「噂?」

「はい……」



彼女は眉間に皺を寄せた。何か考えてい
る様子だ。


まずかったかも……
そう思った時だった――





「あなた、寂しいの……?」


アイラインを強く引いた眸に、優しさが
纏った。



「はい。最近……寂しくてたまらなくて」

「そう……わかるわ、私もそうだから」


彼女には悪いと思ったが、作り話で同情
を引いた。



「店員さんの紹介か、会員の紹介じゃな
 いと入れないのよ。秘密のクラブなの
 要は、信用がない人はダメってわけ」

「そうなんですか……」

「口は堅い?」

「もちろん」

「じゃああなたを信用して、特別に私が
 オーナーに紹介してあげるから」

「ありがとうございます」








「店の奥のドアの中に、階段があるの」




 彼女はそう囁くと店内を見回し、更に
声を潜めた。

彼女からは煙草と、甘くてスパイシーな
動物性の香りがした。



「地下にはいくつか部屋があって、そこ
 で彼らとの時間を過ごせるの。でも、
 外でも会ってくれることもあるわよ。
 ショッピングにも付き合ってくれるし
 普通のデートみたいな事もしてくれる
 の。まあ、こっちの要求を叶えてくれ
 るってわけ。どんな事でもしてくれる
 から」





「どんな事でも?」


「どんな事もよ。会員になればわかるわ
 でも、とても高いけどね」





 彼女は嫉妬深くて少し狡いけれど、愛
すべき女性だった。

欲しい物は何でも手に入る。でも、きっ
と虚しいんだ。本当は寂しがり屋で愛が
欲しいだけ。




いくら探しても――

愛はここにはないのにね……。





 彼女は寂し気に笑うと、グラスに残っ
ていたマティーニを飲み干した。







冷えた心→←BAR LUKIA 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (709 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1590人がお気に入り
設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´・ェ・`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです!! (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください! (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:siori | 作成日時:2018年8月17日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。