春の夜風に ページ33
・
幼いころ、弟と一緒によく触っていた
オジギソウの葉。ねむの木によく似てた
からその仲間なのかもしれない。
最近、めっきり見なくなってしまった。
開花時期は夏だった……
日が西に傾き、暑さも衰えてかすかな
風を感じる夕方に、紅を掃いた後の刷毛
のような薄ピンクの花がオジギソウを彩
っていた。
夏休み、近所の空き地でよく触って遊
んだっけ。懐かしいな……
「どうした？」
ハッと気づくと、返されたライターを
受け取らず、ただぼーっとしている私を
訝し気に見つめている。
「えっ…？あ、あのっ、ほら、子供のこ
ろ触れると閉じる葉があったでしょ？
オジギソウって名前のあれ……最近見
ないなぁと思って」
すると北山さんは、一瞬驚いたような
顔をして私を見た。
「オジギソウ……」
「え？どうしたの？」
「いや……なんでもねぇよ」
「そう……」
どうしたんだろう？北山さんの様子が
少し変……気のせいかな？
「Aちゃんは禁煙しねーの？」
彼は、話題を変えるように聞いてきた。
「やめようかと思ってるんだけど、なか
なかやめられなくて。北山さんはやめ
ようと思わないの？」
「俺？俺は、なーんも自分のためになん
ねーことをあえてしたくなんだよ、煙
草って百害あって一利なしっていうじ
ゃん」
「ふふ、なんかわかる気がするかも」
「だろ？」
少し風が出てきたようで、少しひんや
りとした春の夜風が柔らかく頬を撫でて
いく。
「そろそろ寝ようかな……少し寒くなっ
てきたよね」
どうしてなのか、さっきからドキドキ
している自分がいる。そんな私の心を見
透かされそうで、部屋に入りたくなって
きた。
「あー、俺も寝よ」
「お、おやすみなさいっ」
「あー、Aちゃんて、寝るときはノー
ブラ派？」
「なっ！」
顔から火が出るんじゃないかと思うく
らい熱を帯びているのがわかる。
「んじゃ、おやすみぃ」
北山さんは、柵にもたれるようにして
フッと笑い、流し目で私を見ると涼しい
顔して鼻歌を歌いながら部屋に入ってし
まった。
「……」
やっぱりさっきかっこいいって思った
のは撤回する！
ドキドキしたのも気のせいだしっ
北山さんなんてただチャラいだけじゃ
ないっ！
だけどこの夜を境に、北山さんが何と
なく気になる存在になっていった。
・
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siori(プロフ) - にかみつばさん» ニカちゃんを下品要因にしてごめんなさい(笑)ホルモンは私も詳しくないのですが、楽しんでもらえたらこれ程嬉しいことは無いです。にかみつばさんもこれを機に、ホルモンヌに！どうですか？なんて(笑) (2020年6月24日 7時) (
レス) id: b69aae1f51 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こちらも読ませて頂きました。ホルモンに詳しくもなく興味もなかったので読むのを躊躇っていたのですが、読み始めると止まらない程面白かったです。下品な方でよかったには声をだして笑いました。続きが読めるのが楽しみです。 (2020年6月24日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
北山あかね(プロフ) - 凄く続きが気になります！実は密かにこのままみっくんと付き合って欲しいって思ってます笑続き楽しみにしてますね！ (2017年6月29日 23時) (レス) id: fdd9e4228f (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - あみさん» あみさん(*^^*)本当に鈍感なんですね、主ちゃん。あんなカッコいい頼りがいあるイケメンになびきそうになります、私なら！(;^ω^)エロ山くん、笑いました。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ぽっぽさん» ぽっぽさん(*'ω'*)あんなに冷たい態度とられたんですもんね、しかもアンタ呼ばわりされて〜ショック！どんな顔で会えばいいのか。オロオロ。おっしゃるように、お酒で憂さ晴らしするのは作者と似ているかもしれません(;^ω^)分かっていただけてうれしいです。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2017年5月24日 18時
