心の変化 ページ34
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「佐倉さん、一回目の原稿すっごく面白
かったっすよ!」
二階堂くん(愛称ニカちゃん)は、子
犬のような笑顔になった。
「そう?」
「体張ってる感じがすごく出てました!」
それ、褒めてるの?
二階堂くん、私は女芸人じゃないんだぞ
「じゃあ、太輔もOK出してくれるかな」
「それはわかりません、藤ヶ谷さんこー
んな厳しい顔して読んでましたから」
太輔の真似なのか、彼は眉間に皺を寄
せて腕組みをした。
何気に似てる(笑)
太輔厳しいんだよね……笑って書き直
してねって言われたことは数知れず。
「そうだよね……」
「佐倉さん、まだダメだって決まったわ
けじゃないんですから」
ニカちゃんは苦笑いして慰めてくれた。
今日は担当さんとの打ち合わせで、元
職場である懐かしい”楓書房”に来ている。
大手出版社の”楓書房”は8階建ての近
代的なビルだ。
環境の良い文京区の音羽にあり、文京
区は、”ふみのみやこ”と言うだけあって
明治以来知られた文人が多く住んでいた
地域だ。
現代では、○大、大学病院などの医療
機関も多く、その名の通りアカデミック
な街が広がっており、その代わり賑やか
な繁華街はなく、大部分は住宅地が占め
ていた。そして出版社が多いのも文京区
の特徴だった。
「じゃあニカちゃん太輔によろしくね」
「わかりました。さっき話してくれたホ
ルモン焼肉のお店に近々連れて行って
くださいね!俺楽しみにしてます!」
「うん、わかってるよ」
こうなったらニカちゃんもホルモンの
世界にどっぷりはめてあげようじゃない
の。
なぜかそんな使命に燃えるアラサー女。
入口まで送ってくれた人懐こいニカち
ゃんにサヨナラをして、私は会社を出た。
* * *
あれから北山さんとは、自然にベラン
ダで飲むようになっていた。
それは週に数回だったけれど、北山さ
んとの会話は楽しくていつの間にか彼が
ベランダに出てくるのを心待ちにしてい
る自分に気づいた。
彼が帰ってくるのは大体深夜の2時過
ぎで、市場でのせりが開始される時間が
10時半らしく9時ごろまでは寝ている
みたい。
一番驚いたのは、絶対に年下だと思っ
ていた彼が30歳だったことだ。
”俺、永遠の16だから敬語やめようぜ”
急に敬語になる私に、北山さんはそう
言い、目じりに小さい皺を寄せて笑って
た。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» ニカちゃんを下品要因にしてごめんなさい(笑)ホルモンは私も詳しくないのですが、楽しんでもらえたらこれ程嬉しいことは無いです。にかみつばさんもこれを機に、ホルモンヌに!どうですか?なんて(笑) (2020年6月24日 7時) (レス) id: b69aae1f51 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こちらも読ませて頂きました。ホルモンに詳しくもなく興味もなかったので読むのを躊躇っていたのですが、読み始めると止まらない程面白かったです。下品な方でよかったには声をだして笑いました。続きが読めるのが楽しみです。 (2020年6月24日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
北山あかね(プロフ) - 凄く続きが気になります!実は密かにこのままみっくんと付き合って欲しいって思ってます笑続き楽しみにしてますね! (2017年6月29日 23時) (レス) id: fdd9e4228f (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - あみさん» あみさん(*^^*)本当に鈍感なんですね、主ちゃん。あんなカッコいい頼りがいあるイケメンになびきそうになります、私なら!(;^ω^)エロ山くん、笑いました。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ぽっぽさん» ぽっぽさん(*'ω'*)あんなに冷たい態度とられたんですもんね、しかもアンタ呼ばわりされて〜ショック!どんな顔で会えばいいのか。オロオロ。おっしゃるように、お酒で憂さ晴らしするのは作者と似ているかもしれません(;^ω^)分かっていただけてうれしいです。 (2017年6月12日 20時) (レス) id: 34dcf9e021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2017年5月24日 18時