ＪＥＷＥＬ

要は可愛くないオンナ ページ7

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「ふらふらしてるよ」

「うぅ……すみませんっ」



「いくら何でも一人にしておけないじゃ
　ん」



　太輔は勘弁してくれと言わんばかりに
フゥーっと大きいため息をついた。





「大丈夫だって……明日締め切りの仕事
　とかないから、カラオケボックスにで
　も行って寝るよ」


「おまえさ、いくつよ？それに女だろ？
　ありえない！」

「……わかってるけどっ」





「ホテル行くか？」



「へ？」



「変な想像するんじゃない」

「しっ、してないからっ！」




というのは嘘で……




　この場合、ホテル代を私が支払い太輔
に喰われるか、それとも何もされないで
ホテルで朝を迎えるか


　どっちが女として終わってるんだろう
？なんて、しょうもないことを真剣に考
えていた。


　けれどその後、私は駅のトイレで吐い
たら気分が良くなり、太輔に襲われると
いう私の妄想も現実になることもなくタ
クシーに乗って無事に家に帰ることが出
来た。









＊








――そしてそれから一週間が過ぎ



　今日は私の引っ越しだった。こんな日
に力仕事を手伝いに来てくれる彼がいな
いのはやっぱり寂しい。

　私だって全然モテないわけではなく、
今までもそれなりに恋人はいた。

　大学時代から付き合っていた彼とは私
が就職して仕事が面白くなってきたころ
彼から別れを告げられた。

　原因は、編集者という私の仕事が過酷
すぎて彼を二の次にしてしまったことと
この男らしい性格のためなのかもしれな
い。

　太輔に指摘された通り、昔から男友達
にAは女にしておくのはもったいない
ってよく言われていたっけ。





”Aは俺がいなくても大丈夫なんだろ？
　亜矢ちゃんには俺がいないとダメだっ
　て言ったら？おまえどうする？”

”どうするって……、私は１人で大丈夫
　だしもう涼太に気持ちもないからさ、
　早くその子のところ行ってあげれば？”



”本当に気持ちないの……？”



”……ない”







　その時の彼の傷ついた顔。強がって私
は心にもないことを言った……。



　１人でも大丈夫だろうと言われ、ダメ
ージをくらったあげくに他の女の名前を
出され、奈落の底に落とされた事を、ま
るで昨日の事のように覚えている。




　本当は私だって一人じゃダメな時もあ
る甘えたい時だって、頼りたい時だって
……




　要は、素直になれない可愛くない女だ
ったってこと。







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