中原と太宰と時々私 アージン！【文豪ストレイドッグス】【学パロ】

腐男子くんと買い子 ページ7

『今年のコミケはどうします?』

｢俺はあの日程じゃ予定と重なってて初日しか行けねェ｣

『本当ですか？僕も初日しか都合が合わないんです…』

｢そうか､今年は一日だけだな」

好きな絵師さんのサイトを見ながら、中島とskypeをすること1時間半。


実は中島敦も俺ほどではないが腐男子生活を充実させている。どれぐらいかというと俺と毎年コミケに行く程にはしてる。高校に入ってから二人暮しを始めた同居人の芥川龍之介はそうでもないけど。
芥川はジャンプ系列を読むぐらい。中島は完全にアニメも見るしゲームもするし、フィギュアも買えば同人も買う。R 18物にはちょっと抵抗があるみたいだが、あと一歩踏み込めばもっと楽しいのに。まぁ無理強いはしないが。

梶井も太宰も芥川と同じような感じだろう。
共通の濃い話題でここまで盛り上がれるのは中島だけだ。

そもそも俺がここまで腐り始めたのは親戚の姉のせいである。親戚の姉はオタクをこじらせレイヤーとして活動をしている。そこから興味を持ったわけではないけど、俺を可愛がってくれていたその親戚の姉は俺に漫画を見せ同人誌というものを見せてきて、無理矢理こっちの世界に引き込んできたのだ。
ハマってしまった俺も悪いのだけど。

まさか俺がＢＬの本を自ら買うような人間になるとは、何年前かの俺では想像できなかっただろう。

「ハァ…」

いまや手遅れなほどに腐男子こじらせてこのザマだ。いや、元々アニメや漫画は好きだったし、楽しいからいいんだけど…

『何？まーた篠崎さんについてのタメ息ですか？』

諦めなよ、と完全に他人事のような言い方をしてくる中島。

問題はここにある。

腐男子をこじらせてしまったせいで、三次元へ恋が上手くできない。この趣味がばれたらどうしようという不安で頭が一杯なのだ。

「そんな言い方しなくてもいいだろう中島」

『あはは、だって中原さんがこんなに三次元に夢中になることなんて無いんですもん』

「お前なぁ…」

『叶わぬ恋だっていっただけじゃないですか』

「それが余計な一言だっていってんだよ！」

ノートパソコンの両脇をダン！と思いっきり叩く。
解ってるよ。一般人である篠崎さんにこんな気持ち抱いてたって叶わないっていうのは解ってるよ。何度か諦めようとは思ったさ。住む世界が全然違うんだーっ！って。
でもどうしてかいつも目が追ってしまうんだ。耳が声を拾ってしまうんだ。
自分でもわかるほどに溺れてしまっている。
喋ったことも無いのに…。

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