10.『さつき』先輩 ページ10
「……あのね、私って一軍に一人だけマネージャーとしているでしょう?それに皆顔の綺麗な人ばかり。だから、自然とその……嫉妬、とかで、呼び出されたりしてたの」
急にそう打ち明ける桃井先輩。
「だけどね、朝毎日のように入れられていた呼び出しの手紙が、二年生になった途端、ぱったりと止んだんだ」
勿論私がやったからだ。ずっとあんなのを見ていれば、桃井先輩の綺麗な目や手が穢れる気がして。……多分これも、建前だろうけど。
「それからは代わりみたいに、一通の手紙が入れられるようになったの」
ねえ、あれも……金糸雀ちゃん、でしょう?そう桃井先輩が告げた瞬間、私は目を見開いた。
いや、後になって考えればそもそも桃井先輩を応援しているのが私だけだと知っていたのだからそのくらい小学生でも思いつく事だって分かるのだけれど。
「……はい。そうです、桃井先輩の言うとおり、全部私です」
ああ、嫌われてしまうかな。呆れてしまうかな。こんな子だと分かったら、気持ち悪いと思うかな。嫌な考えばかりが頭の中をぐるぐると回って、ぎり、と両手を握り締めた。
そんな時、桃井先輩の手が私の手の上に重ねられて。
「……ありがとう。」
「え、」
今、なんて。
ありがとう、と言ったのか?桃井先輩は。
「金糸雀ちゃんのおかげで、私、頑張れたんだ。それまでには、怖くて怖くて、ああまた学校にいかないとって思った日もあったけど、金糸雀ちゃんのおかげで、頑張れたの。本当にありがとう。」
「そんな、私は……」
そう言いかけた私を桃井先輩は目線で遮って、「私、もっと金糸雀ちゃんと仲良くなりたいな。璃斗ちゃん、って呼んでもいい?」なんて言ったものだから、驚いて言おうとしていたことも忘れてしまった。
「ええ、ええ……!勿論です、どうぞお好きなようにお呼びください!」
「ほんと?やったあ!じゃあ私のことも、名前で呼んでほしいな!よろしくね、璃斗ちゃん!」
「よろしくお願いします、えと……さ、さつき、先輩!」
お互いに目を合わせてじっと見つめていたら、なんだかおかしくなって、二人して笑った。
「さあ、そろそろ始めないとね。パスの練習からしよっか!」
「はい!あっ、私ボールとってきますね!」
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lkwisterven - 青春が始まるぞ!畜生!初々しい! (2019年7月27日 10時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
織叶(プロフ) - あーうーさん» お久しぶりです!続編ができましたので、まだ1話しかありませんがお知らせに来ました!もし良ければ応援よろしくお願いします! (2017年11月13日 15時) (レス) id: da72fed0d7 (このIDを非表示/違反報告)
織叶(プロフ) - あーうーさん» 全部読んでくださったんですか!?ありがとうございます...!実は霧崎編も予定しています、公開後よろしければそちらもよろしくお願いします! (2017年10月22日 16時) (レス) id: da72fed0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あーうー - 全部みました!霧崎編みてみたいですね (2017年10月22日 15時) (レス) id: 498ada8b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織叶 | 作成日時:2017年10月8日 9時